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【みるほどにハマる北野映画の神髄】「世界の北野武監督」誕生秘話 初めは深作欣二氏が監督だった『その男、凶暴につき』 (1/2ページ)

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 お笑い芸人ビートたけしが、北野武として映画監督デビューした、泣く子も黙る記念碑的第1作である。

 見どころは、何といってもアッと驚くラストシーンだろう。正義感ぶって、署内でも唯一、我妻刑事の味方だった(はずの)菊池刑事(芦川誠)が、殺された岩城刑事の後釜として麻薬の横流しをしているところで終わる。悪はトカゲのシッポのように、切っても代わりはいくらでもいるという皮肉が痛烈だ。

 この映画のキャッチコピーは「子供に、みせるな!」だった。それだけでもハードな暴力描写を重視する、以後の監督の方向性がすでに決まっていたかのようだ。

 さらにこんな秘話がある。初めは深作欣二氏が監督を務め、「灼熱」というタイトルまで決まっていた。主演はビートたけしだった。

 ところが、プロデューサーの奥山和由氏は脚本を読んでバイオレンスシーンに納得がいかなかった。そうこうしているうちに深作監督のスケジュールが合わなくなってしまい降板。

 それなら、いっそのことビートたけしに監督をやらせてみるか、となったらしい。打診を受けたたけしは脚本を書き直すことを条件に引き受けたという。

 こんな行き違いから「世界の北野武監督」が誕生したのだから、人生どう転がるか分からない。もちろん本人も「この映画を作っていなかったら監督なんて面倒くさいものにはならなかったぜ」と明言している。

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