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【中本裕己 エンタなう】日系人の視点で描いたゲバラ 広島原爆の記録に「なぜ日本人はアメリカに怒らないのか」

 革命に散ったエルネスト・チェ・ゲバラを“同志”として闘った日系人の視点から描いた映画「エルネスト もう一人のゲバラ」(公開中)が熱かった。

 広島行きの国鉄列車に揺られる若き日のゲバラの姿から始まる。キューバ革命後の1959年、ゲバラは使節団の一員として広島を視察、原爆の記録を目の当たりにして、「なぜ日本人はアメリカに怒らないのか」と言葉を残す。

 その5年後、ボリビアからキューバに留学した日系2世の医学生、フレディ前村は、故国ボリビアの軍事クーデターに心を痛め、キューバ政府の革命支援隊に同志として名乗りをあげる。

 阪本順治監督の映画は全編スペイン語で、前村を演じるオダギリジョーは、役作りのために半年間でスペイン語をマスター、10キロ以上の減量をしてのぞんだという。その気迫が徐々に伝わり、キューバの景色に違和感なく溶け込んでいた。

 同じ医学生出身のゲバラが、故国救援に立ち上がる前村を意気に感じて、前村に「エルネスト」の戦士名を与える場面は、ジーンときた。

 今、彼らが憎んだアメリカとキューバは国交を結び、オバマ大統領が昨年、広島を訪れた。しかし、かつてキューバと兄弟国と呼ばれた北朝鮮は、今まさにアメリカと一触即発の状態。

 映画の続きが現代と連なっていることが生々しい。そして、血を流さずに、貧者を救い出すことの難しさ。昔の話ではない。(中本裕己)

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