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【BOOK】池上永一さん「沖縄戦後史の闇、えぐりますよ」 『ヒストリア』執筆のきっかけは鳥肌立つほどの“偶然” (1/3ページ)

★池上永一さん『ヒストリア』KADOKAWA(1900円+税)

 デビューから23年、出身の沖縄を材にとるエンタメ小説も手がけてきたが、このたび「第8回山田風太郎賞」の受賞が決まった。その受賞作は構想20年、執筆4年の長編。舞台は南米・ボリビア。沖縄出身の女性を主人公に、キューバ革命の指導者・ゲバラも登場する本作は、沖縄“裏面史”をも照射している。(文・竹縄昌 写真・川口良介)

 --執筆の動機は

 「27歳のときにボリビアに沖縄出身者のコロニーがあることを知りました。でも、その移民政策は沖縄戦と直結し、しかも沖縄戦は体験者以外が触れない感じで、僕には重い話でした。宿題にしておいて、僕の人生のラスボス(最後の壁)になるだろう、75歳で書いてもいいぐらいに思っていたんですが…」

 --でも執筆された。なにがあったのか

 「4年前に初めて行ったクリーニング店の女性店員がカードに書いた僕の本名を見て、沖縄の人ですねって。彼女の名札も沖縄に多い名前。あなたも? と聞いたら、ボリビアっていうからびっくり。“コロニア・オキナワ?”って返すと、なんで知ってるんですかって話になった。行かないと会えないと思っていたボリビアの日系人が自宅から50メートルのところにいた。鳥肌が立ちました。これはもう書け、ということだと」

 --そして、実際に取材に出られた

 「2015年に行きました。第二の都市のサンタクルーズから100キロ。一世はもう80代、二世には富豪が誕生していて一般的な日本人よりも裕福です。東京23区の面積に匹敵する耕地面積を持ってる。三世は衛星放送でNHKを見たり、文化的に日本と変わらないし、しかも第一言語が日本語で、普通に話せるんです」

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