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【没後20年 藤沢周平ドラマ秘録】北大路欣也が主演「三屋清左衛門残日録」、隠居世代らしい疲れも見せるリアルな表現 (1/2ページ)

 没後20年を迎えた時代小説家、藤沢周平。人情話から武家の闘争、サスペンス、秘剣ものまで幅広い作品は、今も多くのファンを魅了する。映像化された藤沢作品を厳選して紹介する。

 東北の小藩の藩用人、三屋清左衛門は先代藩主の死去に伴い、家督を息子に譲った。多忙な仕事やしがらみも離れ、悠々自適のはずだが、健康な身でいざ隠居すると、世間から隔絶されたような寂寞感が募る。そんな清左衛門に幼なじみの町奉行、佐伯熊太が表ざたにできない相談事を持ち込んでくるストーリーだ。

 落ちぶれ果てた友との再会、藩を二分する派閥争い、暗殺の陰謀…。思い悩む清左衛門が心のよりどころにするのは、遠慮なく酒を酌み交わせる熊太と自分を慕う料理屋「涌井」の美人女将、みさの存在だった。

 この作品の魅力は老齢に差し掛かった主人公に恋あり、友情あり、事件ありと、まるで青年期のような出来事が次々起きること。しかも、それを人生経験豊富な今だからこそできる解決法で対処していくところだ。

 作品の発表は藤沢が亡くなる8年ほど前。円熟期に入り、自らの心境を重ね合わせたと思われる場面も多い。特に若いころ、少し道が違っただけで、出世した清左衛門と落ちぶれた友の描写などは現代人にも通じる話。妻を亡くした清左衛門が、みさとどんな結末を迎えるかも共感できるところだと思う。

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