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【秘録 今明かす「あの時」】肝臓がん進行し解禁、最後のセーリングでビール飲んだ裕次郎さん「やっぱり海は最高だね」 (2/2ページ)

 その写真は私がいたスポーツ紙の、元旦号芸能面のトップを飾った。スクープ写真は裕次郎さんの「ご指導」によるものである。

 裕次郎さんは亡くなる前年の86年10月3日に最後のセーリングを楽しんでいるが、これもスクープに成功。情報をつかんだ私は、早朝6時からよく晴れた神奈川・葉山港で張り込んだ。

 やがて石原プロのスタッフの一人が現れ、裕次郎さんの友人のヨット「湘南魔火矢」に乗り込むと船外機操船で同県三浦市の諸磯に向かった。

 陸路、車でヨットを追いかけて諸磯で待機すると、20分後に裕次郎さんを乗せたキャデラックが到着。5人のクルーと一緒に裕次郎さんはヨットに乗り、滑るようにヨットは出航した。

 私は諸磯から移動電話で佐島ハーバーのモーターボートをチャーター。高速ボートはすぐに裕次郎艇に追いついたが、ヨットが船外機を上げて帆を張るまでは一定の距離を保った。

 「よし、ヨットの左舷に接近だ」。ボートで近づくと裕次郎さんは一瞬驚いたようだったが「なんだい、中野ちゃんか。そのボートのハーバーはどこだい」と海の男らしいあいさつ。そして立ち上がり、帽子を振ってくれた。

 「やっぱり海は最高だね。きょうはすっかり気分が晴れたよ」。裕次郎さんの機嫌は最高。久々のセーリングの楽しさを、なんと缶ビールを飲みながら話してくれたのだ。肝臓がんが進行していた裕次郎さんは、すでに禁酒を破っていたのである。=おわり(中野信行)

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