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真矢ミキ 「ハゲ揶揄」「若くなくては意味ない」風潮に疑問 (1/2ページ)

 女優として活躍するかたわら、TBS系情報番組『ビビット』のMCも担当している真矢ミキ。現在53才の彼女が、「年齢」についての考えを明かす。

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 「ごめんね、おばさんで」。40代の友人と食事をしていたときのこと。若いウェイターさんと談笑していた友人はふと我に返ったのか、照れ隠しなのか、こう言った。

 なぜ謝る? 彼女は他のことには誰より自信を持っている才女。初めて聞いた弱音だった。だから私、「ごめんね、魅力的で」みたいなジョークなのか本気なのかわからない表現に変えてみたらと提案してみたが、何とも心にひっかかった夜だった。

 おばさんへの否定ではない。勿論、私の年齢はおばさんだ。ただ表現が楽しくない。みんなでこんな会話しだしたら、今に「ごめんね、おばさんで」「ごめんな、じじいで」「ばばあですみません!」みたいな言葉が飛び交う毎日になる。謝る度に、謝られる度に、美しい景色さえも濁りそうだ。誰もhappyじゃない。

 従って、昨年異常に耳にした“ハゲ~”もしかり。現に子供たちは大人が使ってるから良いのだとこぞって“ハゲ~”と笑って発していた。と言うことは、おじさんで禿げている人は、「ごめんなおじさんで…」と謝ったうえに「ハゲ~」と言われて生活をするのか? …モラルのない社会だ。それでなくても日本の社会は女性の年齢に敏感であり、若くなくては意味がない…みたいな傾向も強いのに。若くない時間の方が人生の大半を占めている中、何でみんなしてネガティヴな思考で生きなくちゃいけないの? これまた楽しくない。

 若さに走る日本の年齢に対する考え方は、年々海外と差がついてきていると聞いた事がある。たとえばフランスでは、歳を重ねれば重ねるほど女性が魅力的に映るそうで(そろそろフランス行くか~)、フランス男性は自己確立した女性と対等に歩んでいきたいと思うのだそう。

 友よ、歳で「ごめんなさい…」なんて言ってる場合じゃない。年齢といえば、黒柳徹子さんが伝説のオペラ歌手、マリア・カラスを演じた舞台『マスター・クラス』が今でも印象深い。

 徹子さん演じるカラスは当時50代。若い学生に講堂や劇場の舞台上で歌を教え、舞台下の客席にいる生徒には、その個人レッスンを公開授業として見せている。

 カラスがマンツーマンで熱心に教え注意していると、その若い学生が、「何を言っているのかまったくわかりません!」とその場を飛び出してしまう。

 ここで普通だと、黙って傷つくか、感情的に言い返しそうだが、カラス(徹子さん)は、一瞬、深呼吸するように間をおいて、冷静に客席にいる他の生徒に向かって「私、傷つきました。大変傷つきました」と静かに語るのだった。その一言だけ言って何事もなかったかのように又、静かに「次の方どうぞ」と学生との授業を再開する。

 この舞台を観劇した当時30歳になりたての私は、大人の女性のぐっと顎で感情を受け止めた、静かな凄みを見た気がした。

 それは、ため息がでるほど素敵だった。若い人とわかりあえない悲哀ではなく、品性を見たのだ。

NEWSポストセブン
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