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【BOOK】下村敦史さん、『サハラの薔薇』で成り行き任せの手法に挑戦 最初と最後はプロット作り、真ん中は連載漫画のように (1/3ページ)

★下村敦史さん『サハラの薔薇』(KADOKAWA1600円+税)

 4年前の江戸川乱歩賞受賞から次々と快作を発表し続けている。現代的テーマを背景に追い込まれた人間を描くミステリーエンタテインメント。今作の舞台はサハラ砂漠だ。絶体絶命のピンチに主人公たちは?(文・竹縄昌 写真・寺河内美奈)

 --デビューから4年目。多作ですが、本作の執筆のきっかけは

 「以前に読んだ脚本の書き方について書かれた本の中の“物語とは劇的葛藤である”という言葉がすごく印象に残っていました。これは“主人公は物語の中でなにか選択を強いられ葛藤していく、それが物語だ”ということだったんです。本書は連載だったのですが、その打ち合わせのとき、その話を担当さんにしたら、その言葉が気に入ったようで、担当さんからも書いてみたらとの提案があったんです」

 --具体的には

 「担当さんは、主人公が毎回究極の選択を強いられるという設定はどうか、と言ってくれ、そして教えてくれたのが“カルネアデスの板”という言葉でした。船が難破して一人しか掴(つか)まれない板が浮かんでいるとき、板に掴まろうとした者を蹴落とすことが許されるかどうか、そういう命題です。海だと毎回そういう究極の選択をする舞台は海面に浮かんでいる場面しかないし、雪山だと山岳小説になってしまい、以前書いている作品(『生還者』)と被ってしまう。そこでデビュー前に砂漠のことを調べていたことがあり、砂漠を舞台にしました。もともと密林とか砂漠とか雪山など極限の秘境に惹かれるところはありましたね」

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