記事詳細

【ぴいぷる】写真家・映画監督の本橋成一氏 バオバブの樹を被写体にモノクロで問う「人と自然の関わり」 (1/3ページ)

 力強い枝ぶりと豊潤な水分を蓄えた巨大な幹。葉や実や皮は人間や野生動物の食料や薬となり、洞(うろ=樹木の穴)にはグリオ(吟遊詩人)たちの骸(むくろ)を眠らせる。樹齢1000年以上とも言われる西アフリカ、セネガル共和国トゥーバ・トゥール村のバオバブの樹だ。

 最初にバオバブに出合ったのは30年以上も前の東アフリカ。樹が「人と自然との関わりの証し」に見えたという。

 だが、映画「バオバブの記憶」(2009年)の撮影でセネガルに赴き再会したバオバブは、残酷な運命に遭遇していた。外国資本による土地開発のため多くが伐採されていたのだ。

 「今、バオバブの樹が人間の都合によるツケを背負うもののように映る」と、このほど写真集『バオバブのことば』(ふげん社)を出版した。環境問題を声高に問うのではない、現実を淡々ととらえたモノクロ写真の寡黙な作品構成である。

 「樹の大量伐採は悪いと分かっていても経済優先のこの時代、それによるツケは次の次の世代に回そうと決め込んでいるようにぼくには見える。人間の都合をどこかでやめないと、何かのバランスが崩れる日が来ると思うんですよ」

 村人は、土の中から樹が芽を出すのは「大地の許しがあったからね」、枯れたときは「役目を終えたからさ」とつぶやく。だから樹の伐採には精霊の許しがいる。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう

関連ニュース