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【没後20年 知って得する黒澤映画トリビア】無駄に刀を振り回さないリアルな殺陣『用心棒』 急所外しても必ず2度斬るワケ (1/2ページ)

 主演の三船敏郎が、ベネチア国際映画祭やブルーリボン賞で主演男優賞を受賞するなど国内外で評価の高い作品だ。

 リアルさを追求する黒澤明監督ならではのこだわりが随所に光る。後半に登場する丑松の弟、卯之助(仲代達矢)が持つ回転式けん銃は、本物のスミス&ウェッソンNo.1に空砲を装填(そうてん)したものという凝りよう。1857年から製造されているので、舞台が幕末なら、あっても不思議はない。

 殺陣も本物志向。無駄に刀を振り回さず、人を斬ったら血脂が刃にまとわりつき、急所を外しても立ち上がれないように必ず2度斬るなど、とことんリアル。

 腕がスパッと斬り落とされる残酷シーンがある。その腕を作ったのは出演する俳優の大橋史典だが、あまりのリアルさに監督は不気味がって触ろうともしなかった。

 親子を救うシーンも現代なら感動のドラマに仕上げるところだが、貴様なんか嫌いだから、早く行ってしまえみたいなぶっきら棒な言い回しが黒澤流人間性の本質を見せる。武骨な無頼漢ぶりが逆に生温かい。

 1964年には、イタリアでリメーク版「荒野の用心棒」(セルジオ・レオーネ監督)が作られた。しかし無許可だったため著作権侵害だと東宝が提訴し勝訴。全世界の興行収入の15%を受け取ることで合意した。

 それだけでも本作の国内収入3億5000万円を楽に超える額だった。一説によると監督自身がセルジオに「君の映画は素晴らしい。だがこれは俺の映画だ」という手紙を送ったとか。ただ「用心棒」も、ダシール・ハメットの小説「血の収穫」から多くのヒントを得ているのも皮肉。

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