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【玉袋筋太郎 玉ちゃんの酔滸伝】心の中で叫んだ「おかあさん!オレ、スナックの息子で本当によかったよ」 (2/2ページ)

 両親の商売に感謝できたのは父が亡くなったあとのことでした。新宿二丁目のお店に飲みに行ったときに、そこのママさん(男)が昔、両親のお店に通ってくれていたのです。ママに「楽しくていいお店だったわよ~」と言われた私は、もはや伝えたくても伝えられない父への感謝の気持ちで、恥も外聞もなくそのお店で涙を流したのです。

 母は先日、認知症で病院に入院しました。息子として母が認知症になったことを受け入れることはできませんでしたが、現実に母は認知症の症状が現れて家族に負担がかかり始めたので、苦渋の決断。専門の病院に入院してもらうことになったのです。

 入院の日、母と一緒に病院に向かいました。専門の先生がプロフェッショナルな口調でゆっくりと「お仕事は何をやっていたんですか?」と母へ問診します。私は先生と向かい合う母の背中を見て、「こんなに母の背中は小さくなってしまったのかぁ…」という気持ちとともに、母がその問診になんと答えるのだろうかと不安でした。

 「え~っと、仕事はぁ…。そうだ、スナックをやってました。子供がいましたからねぇ。新宿でスナックを主人とやってたんです」

 おぼろげな記憶を懸命にたぐりながら問診に答えた母の言葉は、親としての子供を育てる誇りだったのだと感じた私は、母の背中に「おかあさん! オレ、スナックの息子で本当によかったよ。ありがとう!!」と心で叫んだのです。

 ■玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう) お笑い芸人。1967年6月22日生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入り。TBSラジオ「たまむすび」(金曜)、TOKYO MX「バラいろダンディ」(水曜)にレギュラー出演中。2013年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。著書に「スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界」(講談社)など。新刊「スナックの歩き方」(イースト新書)が発売中。

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