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【高須基仁 人たらしの極意】福島で書店開いた柳美里さんの孤高の思惑 福島の若者に文化の薫りを伝えようと (1/2ページ)

 親交のある芥川賞受賞作家の柳美里が移住先の福島県南相馬市小高地区の自宅で小さな書店を今月9日、オープンした。自らの小説と同名の「フルハウス」と名付けられたその店の書棚には、自身の著作のほか、寄贈された約2000タイトルの書籍がズラリと並び、椅子も設置して立ち読みならぬ“座り読み”も自由! 太っ腹だ。

 私はオープン前の日曜日、JR常磐線小高駅にほど近いその店に立ち寄ったが、彼女はいなかった。後日、「長編小説の取材でベルギーのアントワープに滞在した後、息子の大学進学のため引っ越しの手伝いで網走に滞在していました」という丁寧なメールをいただいた。長男は東京農大オホーツクキャンパスに無事合格したという。

 訪ねたとき書棚はまだガランとしていたが、周辺を歩きながら、彼女が福島の小さな町に住んでいる理由を感じ取った。

 かつて、彼女と私は月刊サイゾー誌上で対談し、「嫌われる力」を互いに確認し合った。編集長から「『嫌われる力』という本を作りましょう」と提案されたが、直後に東日本大震災が起きて、立ち消えになった。後日、「嫌われる…」と名付けられた心理学の啓蒙書が大ベストセラーになったが、私たちは先取りしすぎた。

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