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【映画通が一度は行きたい京都】黒澤明監督が求めていたアットホームな空間 京の宿・石原 (1/2ページ)

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 日本映画を世界に知らしめた黒澤明監督も、京都に縁の深い映画人だ。ベネチア国際映画祭の金獅子賞に輝いた『羅生門』を京都で製作したことはもちろんだが、実は『八月の狂詩曲』以降のすべての作品の脚本は京都で執筆されたものだ。

 黒澤作品のスクリプター(記録係)だった野上照代さんは「京の宿・石原」に泊まって以来、すっかりそこのファンになっていた。

 ある時、黒澤監督がロケハンのために長期滞在できる場所を探していると聞いて、この宿を推薦した。女将の石原弘子さんは「京都には他にもっと立派な旅館もありますのに、なんでうちで?」と驚いたという。

 石原は、大正末期に建てられた数寄屋造の小さな宿だ。もともとは骨董品屋だったとあって、部屋や廊下の調度品が洗練されていて心地よい。ご主人の元治さんが作った小箱などの小物類も愛らしい。

 黒澤監督が求めていたのは、気取った高級旅館ではなく、アットホームでいて、京の町衆の美意識が行き届いた空間だったのだ。

 女将さんにとって、黒澤監督は「優しいおじさん」のような存在で「今日、御所を散歩してたとき、小さな子供と遊んだよ」とニコニコしながら話してくれたという。

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