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【ぴいぷる】人の人生を預かる覚悟 「ザ・ノンフィクション」チーフプロデューサー・張江泰之氏 (2/3ページ)

 タイトルは、「人殺しの息子と呼ばれて…」。

 「普通に『1人の青年が語ってくれました』とするのではなく、取材プロセスも全部明かした上で伝えるべきだと思い、僕が1人称で語るスタイルにしました」

 前編では幼少時代に見た壮絶な事件現場や、満足に食べ物も与えられず、父親によって気を失うほどの電気ショックを受けたり、母親からも刃物を突き立てられた話など。後編では両親の逮捕後、児童養護施設から通った小学、中学時代、社会に出てからの人生を語った。この激白の反響は大きく、特に後編は昼間なのに視聴率が10%を超えた。12月には再取材を含めたスペシャル版をゴールデンタイムで放送した。

 「番組の感想の9割以上は彼に対する称賛の声でした。彼にそのことを伝えたら、『よかった。やっと報われる』とLINEがあって。この言葉は重いですね」

 この経緯を書籍化したのが『人殺しの息子と呼ばれて』(KADOKAWA)。インタビューの内容に加え、放送後の追加取材や今後の展望を収録している。

 「彼は自分にしかできないこと、例えば同じ境遇の人の相談に乗りたいなどと漠然とは考えていたんですね。テレビ出演や本が出たことで、気持ちが固まってきたようです」

 張江氏はもともとNHKで「クローズアップ現代」や「NHKスペシャル」を担当した敏腕ディレクター。

 「NHK時代で忘れられないのが、日本航空123便墜落事故から10年後の節目に制作したNスぺ『秋、御巣鷹山~日航機墜落事故の遺族たち~』です。亡くなられた520人のご遺族全員に手紙を書き、全国を行脚して会いに行きました。遺族の方の中には、いまもお付き合いしている人たちがいて、阪神・淡路大震災の際には、その方の家を取材の前線基地にさせてもらったりしました。この6月の大阪北部地震のときも、真っ先に『大丈夫ですか』と連絡しました」

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