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【大人のTV】“真の人物像”を立体的に解き明かす 『ザ・ドキュメンタリー 昭和の劇画王 梶原一騎「巨人の星」「あしたのジョー」「タイガーマスク」を生んだ男』

★「ザ・ドキュメンタリー」昭和の劇画王 梶原一騎「巨人の星」「あしたのジョー」「タイガーマスク」を生んだ男(BS朝日、12日午後7時)

 今の若者にとっては、「梶原一騎」といっても、そんなに思い入れはないだろう。しかし、ある一定の年齢層の男性にとっては、確実にこの人の名前で育ってきたといっていい。

 それは「巨人の星」なのか、「あしたのジョー」なのか、はたまた「タイガーマスク」なのか。「愛と誠」という人もいるだろう。どれも名作といえるタイトルばかりだ。それが、この人の中からすべて生まれてきたと思うと驚愕だ。

 記者は、やはり「侍ジャイアンツ」だった。それもアニメから。「ハイジャンプ魔球」「大回転魔球」「分身魔球」…。主人公の番場蛮が次々と生み出す魔球、そして蛮と対峙するライバル、眉月光、大砲万作、ウルフ・チーフ。

 考えてみれば、「巨人の星」と同じフォーマットではあるが、より奇天烈な展開が好きだった。「巨人の星」も読むには読んだが、主人公の星飛雄馬がライバル・オズマから“野球ロボット”と指摘され、人間味を持とうと苦悩するあたりがどうも苦手だった。

 番組では、こうした名作を次々と生み出した梶原一騎という男をさまざまな証言から立体的に浮かび上がらせていく。その顔ぶれも、「あしたのジョー」を描いた漫画家、ちばてつや、初代タイガーマスクの佐山サトル、「侍ジャイアンツ」を描いた井上コオ、そして梶原を間近で見てきた家族たち。

 主人公が悲劇的な最期を迎えることが多い梶原作品を深く読み解きながら、梶原の真の人物像に迫っていく。そういえば、矢吹丈はホセ・メンドーサとの試合で真っ白な灰になり、星飛雄馬は左腕を失うことになる。番場蛮に至ってはマウンド上で死に至るのだ(アニメ版は異なるが)。

 思い出すだけで胸が熱くなる。濃厚な昭和の記憶だ。(F)

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