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【大鶴義丹 それってOUTだぜ!】人間の中には「エンタテインメント」を求める本能がある (1/2ページ)

 世間の混乱と逆行するかのように、窓越しに感じる季節はすでに春を通り越したようだ。だが、私の周りでも多くの方が出口を見つけられずに、不安な毎日と向き合い続けている。

 この瞬間も想像を絶する苦境と対面している方がたくさんいると考えると、思わずすべての言葉が消えてしまうが、それでも私自身の小さな「気づき」について書かせていただく。

 こういう状況になり、私は自分の職務である「エンタテインメント」を冷静に見つめ直すことになった。

 これは「観客」側としての自身の中で起きた変化であるが、こういう特殊な状況の真っただ中にいると、読書、映画鑑賞、観劇、テレビ、お笑いなど「エンタテインメント」そのモノへの興味がスッパリと失われてしまうということである。

 今、東京に住んでいて観劇に行くことはないだろうが、自宅で本を読んでも映画を見ても「物語」への、根本的な興味や感性というものが、すべて味気なくなってしまうのだ。

 極端な話、リアルに生きるか死ぬかの状況で、「恋愛ドラマ」に食指が動かない。歴史ドラマに対しても、そんな昔のことなどどうでも良いと思ってしまう。逆に国内を含めた社会情勢や経済、医療など実利的なことへの興味は膨らむばかり。

 まさに「事実は小説より奇なり」で、この現実のほうが大抵の「物語」よりもはるかに非現実である。

 こういう状況になると自分自身も含め、多くの方は「エンタテインメント」を深く楽しむような精神状況にはなれないということだ。だからなのか、アルコールという強力な力に頼ることになってしまうケースも多い。