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【大鶴義丹 それってOUTだぜ!】人間の中には「エンタテインメント」を求める本能がある (2/2ページ)

 もちろん、そんな状況だからこそ、一瞬でも現実を忘れて架空の世界に没頭したいという方もいるかもしれない。外出自粛によりテレビの視聴率が意外に悪くないとも聞くが、それが本質的な視聴率とは思えない。

 今の話は、自分を含めた「観客」側の変化であるが、逆に演じる側の気持ちは少し違うものがある。

 それは、当たり前のように存在していた「エンタテインメント」というものが、実はとても壊れやすい、風で飛んでいくようなもろい存在だと再認識したことである。

 環境問題も含め、これから先も「平時」が保証できない世の中が続くであろう。今までは当たり前のように接していた、一つ一つの芝居やドラマというものに、さらに大切に感謝を込めて接するべきだという猛省である。

 昭和芸能というものがあれほどに百花繚乱(りょうらん)した理由は、マスメディアの発達のタイミングもあったが、一番の理由は長く続いた第二次世界大戦が終わった反動だといわれる。楽しむことに飢え切っていたのであろう。

 当時をよく知る芸能の重鎮の方に話を聞くと、内容の良し悪しに関わらずレコードは次から次に飛ぶように売れ、芝居やコンサートは大行列だったという。

 つまり人間の中には、「エンタテインメント」を求める本能があるというのも、また事実なのであろう。

 ■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画『首都高速トライアル』で俳優デビュー。90年には『スプラッシュ』で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。主な出演番組は『アウト×デラックス』(フジテレビ系)など。『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)に4話から出演。YouTube公式チャンネル「大鶴義丹の他力本願」も随時更新中。かっこ