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中国産CGアニメがディズニーやピクサーを駆逐する 市場規模1兆円「中国映画ビジネス」 (2/8ページ)

 『羅小黒戦記』の日本配給を行っているチームジョイ株式会社で、代表取締役CEOを務めている白金氏は、「2019年は中国のアニメ映画元年」と評した。白金氏によると、19年に中国製アニメ映画が相次いで登場し大ヒットしたのは、その制作期間を逆算すると、15~16年に中国のアニメ制作会社に対して、大規模な資本を投じた投資家たちがいたはずだという。その背景を、白金氏は以下のように語っている。

 白金氏: 日本の映画マーケットが約2600億円なのに対して、中国の映画マーケットは約1兆円(※いずれも19年)です。そして2600億円の日本映画市場のうち、アニメが25~30%を占めています。米国(アメリカ)でも、映画マーケットの約10%がアニメです。

 それに対して数年前の中国では、映画マーケットに占めるアニメの割合は1~2%でした。しかもその1~2%を、アメリカと日本のアニメが分け合っている状態で、中国産のアニメはないんです。

 でも日本やアメリカの例を考えれば、中国でも映画興収の15~20%がアニメになる可能性は十分にあるはずです。そう考えた投資家たちが、15~16年【※】に中国のアニメ制作会社に対して大量に投資した結果が、19年の「アニメ元年」に結びついたのだと思います。

 さらに言うと、日本やアメリカで人気のアニメ作品では、映画の興行収入はIP全体の収入のうち、ほんの数%です。アニメのヒット作が生まれれば、映画だけでなくオモチャも売れる。ゲームも売れる。関連グッズも売れる。中国の投資家たちは、そこを見ているのだと思います。

 【※2015~2016年】ちなみに2015年には、中国で作られた3DCGアニメ映画『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』が、中国映画市場で大ヒットしている。沈滞化していた中国産アニメにとって快挙ともいえるこの映画のヒットが、その後の中国製アニメ映画の活性化に影響を与えているだろう

 中国では、中国産CGアニメがディズニーやピクサーを追い出そうとしている

 次に、19年の中国で起こったアニメビジネスの新しい波について、ジャーナリストの数土直志氏に話を聞いた。

 数土氏はアニメーションを中心に、国内外のエンターテインメント産業に関する取材・執筆を行っている。なかでも、17年に数土氏が執筆した著書『誰がこれからのアニメを作るのか?』(星海社新書)では、「中国資本とネット配信が起こす静かな革命」というサブタイトルにも表れているように、10年代後半に中国資本が日本のアニメ業界に進出してきた経緯を、いち早く分析している。

 数土氏によると、中国で3DCGアニメ映画の超大作が次々と作られているのには、明確な狙いがあるという。

 数土氏: 『ナタ~魔童降臨~』や『白蛇:縁起』が競っているのは、日本のアニメではなくて、ピクサーやドリームワークスといった、ハリウッドのCGアニメ映画会社なのです。作画スタッフの実力が大きく影響する2Dの手描きアニメとはやや違って、3DCGアニメの場合はお金をかければかけるほど、クオリティーに反映される面も大きいです。お金をつぎ込める中国資本の企業が、3DCGアニメで日本よりも高いクオリティーの作品を作れるのは、ある意味当然ですよね。

ITmedia ビジネスオンライン

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