記事詳細

中国の製作会社が巨額資金投入も…「日米反目」の思惑は失敗、日米両軍への敬意が 11日公開「ミッドウェイ」

 1941年12月8日の開戦以来、連戦連勝を続けてきた日本が初めて敗北し、太平洋をめぐる日米戦のターニングポイントとなった歴史的な海戦を描く『ミッドウェイ』が11日から公開される。

 『インデペンデンス・デイ』で知られるローランド・エメリッヒ監督のハリウッド大作ということが話題だが、注目すべきは、作品の冒頭に中国の映画製作会社の名前が大写しになるのに象徴されるごとく、巨額の資金を出した中国側の意図が見え隠れする点だろう。

 1976年製作のオリジナル版の導入部をわざわざ変更し、真珠湾攻撃から始めるのは、日本軍の奇襲によって無残な姿をさらした米艦隊と米国人の殺傷シーンをアメリカ国民に見せるためだったといえよう。だが、日米両国民を反目させる中国側の目的は達せられない。一番の原因はエメリッヒ監督が20年に及ぶリサーチで、日米両軍に敬意をもって史実を再現したからにほかならない。

 山口少将と加来大佐が空母飛龍と最後をともにする場面などは日本海軍指揮官への尊敬の念さえ感じられる。日本人俳優の熱演も影響し、中でも山口多聞役の浅野忠信と山本五十六役の豊川悦司の2人がなかなかいい。

 それでも日本軍が中国国内で無差別爆撃を行うくだりや、ドゥーリトル中佐(アーロン・エッカート)が中国ゲリラに救出されるシーンなど日本批判を盛り込もうという中国側の思惑は明確だが、全体として見ると日米両軍への敬意のほうが優先されている。

 これまで莫大(ばくだい)なチャイナマネーの威力でハリウッド映画界をコントロールしてきた中国の工作に陰りが見え始めている。それは「米中関係は日に日に悪化しているし、アメリカ議会の保守派もハリウッド批判を強め中国にすり寄る映画製作会社への懲罰措置を検討している」(ニューズウィーク日本語版2020年9月8日号)といった現状が影響しているのかもしれない。 (瀬戸川宗太)