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【織田哲郎 あれからこれから】AKB48「鈴懸-」人気と現代の“曲の価値” 商業的には下がっても需要は減らず (2/2ページ)

 かつて音楽鑑賞といえば、ステレオの前に座って聴くイメージでしたが、今はそんな人はめったにいないと思います。ウォークマン以降、音楽は何かをしながら聴くものになり、MTV以降、映像が付いて当然になりました。そして音楽そのものより、何かのイメージをより強くする役割(アニメなど)、アイドルの振り付けやダンスのための素材、そしてそのグッズとしての役割といった面がより強く出てきたと思います。

 はっきり言ってしまえば、商業的な意味での曲の価値は下がってしまいました。でももともと音楽の価値はその人の心の中だけのものなのです。ある人には無価値でも、ある人にはお金以上の価値があることもあります。音楽そのものの需要が減ったわけではありません。逆にあらゆる部分で音楽がより強い相互依存の中で共生するようになったともいえます。

 音楽家としての私は、ハードの進化による商業形態の変化には興味はないタイプです。魚屋さんに例えれば、和食やすしの店が減って、濃いソースをかける洋食やファミレスが増えても、いつでも最高の刺し身で食べられる鮮度の魚だけをそろえるのが、魚屋としての矜持(きょうじ)だろうと思います。

 ■織田哲郎(おだ・てつろう) シンガーソングライター、作曲家、プロデューサー。1958年3月11日生まれ。東京都出身。79年のデビュー当初からCMやアーティストの音楽制作に携わる。現在「オダテツ3分トーキング」をYouTubeで配信中(毎週土曜日更新)。

 『織田哲郎 LIVE TOUR 2020~一寸先はYummy!』は、10月24日(土)=名古屋「ReNY limited」▽25日(日)=大阪「BIG CAT」▽11月6日(金)=東京「EX THEATER ROPPONGI」で開催。詳しくは公式サイトt-oda.jpへ。

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