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映画「罪の声」の本当に鋭い着眼点 今年度の映画祭を席巻する一作になること間違いなし (1/2ページ)

 今年度の日本の映画祭を席巻する一作と断言したいのが映画『罪の声』(30日公開)だ。

 興奮をもたらす緊張の糸が一気通貫している。途中、新聞記者、阿久津英士役の小栗旬(37)とスーツの仕立てひと筋のテーラー、曽根俊也役の星野源(39)が港湾で缶コーヒーを飲む場面が緊張をほどく緩和を挿入する。実にうまい。メガホンは土井裕泰監督(56)。

 1980年代、関西を舞台に食品会社を狙った企業脅迫事件が起きた。塩田武士氏の原作『罪の声』は、脅迫に使われた3人の子供の声に着眼し、大人になった3人の行方を追う形で、事件とその後を描く。着眼が本当に鋭い。

 阿久津は映画評、演劇評を扱う文化部所属だが、昭和の未解決事件を改めて掘り起こす特別企画班に組み込まれ、食品会社脅迫事件「ギンガ・萬堂事件」担当になる。

 松重豊(57)演じる元社会部記者は事件を、関西の警察、関西のマスコミののどに刺さった骨との認識を示す。モデルとなった事件、さらには朝日新聞阪神支局襲撃事件もそうだろう。今も追跡を緩めない警察OB、新聞記者OBがいる。時効が過ぎようが、生きていようが死んでいようが犯人はいる。そこに接触できたら、捜査員冥利(みょうり)、記者冥利に尽きるのだ。

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