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『古見さんは、コミュ症です』池田エライザがハマる理由を考察 (2/3ページ)

 繊細かつ普遍的なテーマですが、しかしこのドラマの画面作りはポップです。

 まず興味深いのがキャスティング。ヒロインの古見硝子を演じる池田エライザは25才、凡人の只野を演じる増田貴久は35才。一見して「青春期の若い役者ではない」大人のタレントを意図的に「高校一年生役」の図柄にあてはめる面白さ。溝端淳平の金髪ヤンキー姿もギャグで笑えます。元不登校で自己表現に難アリの高校生役ですが、浮いている感がハンパない。

 画面作りも凝っていてスローモーションを多用したりスモークをかけたり。いくつものカットを切り替えたり……遊び心満載。徹底してカリカチュアされた世界ですが、演出担当が『おっさんずラブ』の瑠東東一郎氏と聞いてなるほど納得しました。

 そう、吉田剛太郎がバラの花束を持ってサラリーマンの春たんに求愛する、というあの荒唐無稽な突き抜け感が、このドラマの随所に見られます。

 「コミュニケーションの難しさ」という直球のテーマを、もし十代の役者が等身大で演じたら?  あまりに生々しくリアルなドラマになりそう。しかし、敢えて「大人たち」が演じることでズレ感やパロディ感が出て、見ている側も人物に感情移入しすぎず、「コミュニケーションとは何なのか」という本質的なテーマについて考える。なかなか戦略的なドラマ作りです。

 まるで美しい人形のように固まっている古見さんの内面が少しずつ動き出すシーンもいい。延々としゃべらずに物語が進んでいくのも奇妙といえば奇妙で、黒板に書いた文字を追うシーンが何分間も続く。でも、なんだかわかる気がするのです。人が打ち解ける瞬間は、何気ない言葉から始まり、固い氷が溶けていく。すこしずつ古見さんの心の内側が見えてきてふわっとした温かさに包まれる。「コミュ症」という難役を演じる池田さんが、もう彼女以外にこの役はできないのでは、と思わせてくれるほどハマッています。

NEWSポストセブン

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