【今週のご推笑・東】あした順子・ひろし「磨きこんだ絶妙なネタ」

2009.10.10


あした順子・ひろし【拡大】

 東京漫才の大御所、あした順子・ひろし。男女コンビでは珍しく、夫婦ではなく他人同士だ。

 戦後間もないころ、順子はダンサーとして進駐軍のキャンプ回り、ひろしは楽団とともにショーの司会をしていた。「ひろしさんが踊り子さんを探しにきてね。その子が行けなくなって私が紹介されて…それが因縁で60年」と順子は振り返る。

 結成時は南順子・北ひろしを名乗った。「当時はおしゃべりコントが主体だったね」(順子)。その後、関西の演芸作家・秋田實に師事。東京に戻ると「ドツキ漫才」が売りとなった。定番ネタは、漫才の合間に順子がひろしに決める首投げと、ひろしの見事な受け身。「女子プロレスと地方を営業で回っていたころ、レスラーがケガで1日代役をした。その時に習ったのがもったいないと思って」と順子が言えば、「柔道(初段)が役に立った」とひろしが秘密を明かす。

 順子のマシンガン的ツッコミと、ひろしの絶妙な間と動き。漫才が面白くて達者なのは、流行と時事に敏感だからか。マイケル・ジャクソンが急死すると、すぐにマイケルネタを披露。ひろしが独特の動きでムーンウオークをすると、順子が「それじゃあ暗闇の歩きだよ」とツッコみ、客席は爆笑の渦。何十年も練り上げたお約束の芸の中にダンスや高齢化社会のネタを展開、これぞ“古典漫才”だ。

 ひろし87歳。順子の年齢を足すと160歳を超す。元気の秘密は「クヨクヨしない。ストレスをためない」「健康は自分でつくる」ときっぱり。

 “漫才界の人間国宝”として、あしたも磨きこまれた絶妙な笑いを届けて欲しい。

 (演芸評論家・高山和久)

あした順子・ひろし
 

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