俳優の夏夕介さん グループサウンズ経て、俳優となった努力家

「突撃!ヒューマン!!」で主役に

2010.03.11

 1月27日、胃がんのため、59歳の若さで亡くなった。ドラマ「特捜最前線」や映画「トラック野郎一番星」などで二枚目俳優として活躍したが、デビュー当時はミュージシャン。高校を卒業後、和田アキ子がボーカルを務める「グランプリーズ」のオルガン奏者を経て、グループサウンズ(GS)の「オックス」に加入し、キーボードを弾いた。

 「GSをやっていた人とは思えないほど礼儀正しく、好青年だった。ソロシンガーでデビューした後に俳優になった。当時、映画やドラマは2、3本出ていたが、初めて主役に抜擢されて役者の道を歩むきっかけとなった作品が『ヒューマン!!』だったと思う」と語るのは、ウルトラマンなど数多くの特撮番組でスーツアクターを演じた俳優の古谷敏さん(66)。

 「ヒューマン!!」とは、1972年に日本テレビ系で放送された特撮ヒーロー番組「突撃!ヒューマン!!」のこと。関東地方の市民会館や公会堂のステージで子供たちを集めて公開収録が行われ、夏さんはヒーロー「ヒューマン」に変身する前の体育教師役だった。CGや凝ったワイヤーアクションがなかった時代。トランポリンを使ってヒーローらしい大ジャンプを披露し、チビっ子たちの喝采を浴びた。

 実はその役作りのためにスポーツ教室へ2カ月も通った。当時のインタビューには「もっと早くやってりゃ、オリンピックも狙えたのに」と答えるほどの努力家だった。

 舞台裏でアクション指導を担当していた古谷さんは「ポーン、ポンとトランポリンの技は鮮やか。やせていて甘いマスクだったので、そりゃ売れると思っていた。まだセーラー服姿だったヒロイン役のスーちゃん(田中好子)のお兄さんのような存在だったよ」と、昔を懐かしむ。

 「残念ながら『ヒューマン!!』は裏番組の『仮面ライダー』に太刀打ちできなかった。でも、番組が打ち切りになった後に夏君の人気が出たんだよ。堂々とした主役でした」。そういって古谷さんは、ヒーローとして生きた夏さんを振り返った。

(鎌田剛)

 

注目情報(PR)