【ブック】“ハイパーインフレ”到来を警告 藤巻健史さん

★「日本破綻「株・債券・円」のトリプル安が襲う」(講談社)

2010.05.07


藤巻健史【拡大】

 ギリシャ経済危機が、世界経済の懸念事項として重くのしかかっている。しかし、見方を変えれば、日本の財政状況はギリシャよりも悪化している。カリスマトレーダーと呼ばれる筆者が、「壊滅的な日本経済の到来」に警鐘を鳴らす。

文・平尾孝 写真・緑川真実

 −−過激なタイトルだ

 「現実をみれば、そうでもありません。国の累積赤字は来年3月末には975兆円に膨れあがる計算になっています。約1000兆円の借金は、毎年10兆円ずつ返しても100年かかる計算。日本の税収は昨年度37兆円に落ち込み、その10兆円にしても捻出は難しい状況です」

 −−クライシスへ

 「財政悪化はおできがぱんぱんに膨れあがり、膿が飛び出しそうな状態です。これに借金を重ね、さらに膿が体に回って、敗血症になって死んでしまうか、おできを針で突いて膿を出すかしかありません」

 −−そうなると

 「日本の財政不振から国債の売り出しがうまくいかず、日本国債の暴落が始まり、円も急落し、日本株もストップ安の、いわゆる『トリプル安』が起きます」

 −−バブル崩壊以上?

 「90年代後半のアジア危機、韓国経済崩壊、ロシア危機以上のショックとなるでしょう。企業が相次いで倒産し、失業者があふれ、年金は実質ゼロになる。同時に、非常事態ということで、日銀が国債を引き受け、その結果、紙幣が市中に満ちあふれ、“ハイパーインフレ”になります。タクシーの初乗り料金が100万円という状況になれば、日本人の貯蓄はあっという間に紙切れになります。一方、巨額の借金に苦しむ政府にとっては、借金を微々たるものにでき、まさにハイパーインフレは“合法的な徳政令”になります」

 −−国としての対応は本に譲るとして、ご自身の危機の回避は

 「今は、自己資金だけの運用ですが、昨年末に日本株投資からは手を引きました。日本破綻となれば、日本株は壊滅的だからです。今は米国、特に金融関連株にシフトさせています。私は買ってはいませんが、どうしても日本株というなら、輸出関連株でしょうね。円が急落する結果、輸出は急増しますからね」

 −−執筆のきっかけは 「国の借金はあまりに巨大すぎて、われわれの世代では返しきれず、子供や孫の世代が馬車馬のように働いて返すことになる。私も今年60歳になります。後の世代にツケを残すのはいけない、そう思って書きました」

 −−売れ行きは好調と

 「うれしいのですが、おかげで講演会を頼まれる数は激減ですよ。やっぱり楽観論の方が受けはいいですからね。でも、こういったリスクを意識して投資することも重要なんですがね」

 「日本破綻「株・債券・円」のトリプル安が襲う」(講談社・1575円)悪化を続ける日本の財政に、バブル崩壊を上回る市場の反乱が襲い、「日本売り」が迫る。市場経済を無視し続けた結果の「トリプル安」で、国は、個人の生活はどうなるのか。このクライシスを回避する策は果たしてあるのか。 

 ■ふじまき・たけし 1950年、東京生まれ、一橋大商卒。三井信託銀行を経て、85年モルガン銀行に入行し、東京支店長などを歴任。優れた運用成績から「伝説のディーラー」とも。2000年に(株)フジマキ・ジャパンを設立し、社長に。米著名投資家のジョージ・ソロスのアドバイザーも務めた。

 

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