のりピー事件で引っ張りだこ“超売れっ子”法律家の素顔

2009.09.25


板倉宏氏【拡大】

 連日報道される芸能人の薬物事件。この夏、この人の顔をテレビや新聞でどれだけ見たことか。日本大学名誉教授でベテラン弁護士の板倉宏氏(75)。的確で、わかりやすい解説で知られる“超売れっ子”の素顔を直撃した。

 8月初旬以来、酒井法子(38)、押尾学(31)両被告の事件報道が途切れない。神奈川・藤沢市の板倉氏の自宅には多い日で1日10本の電話取材があった。

 「全部で100件ぐらいあったかもしれませんねえ」と、板倉氏は怒涛のような取材ラッシュを苦笑しながら振り返る。

 もちろん報酬目当てで応じているわけではなく、各社規定のコメント料は数千円がせいぜい。その都度、仕事が遮断されても取材をいとわず、マスコミにとっては貴重なご意見番だ。

 当初、覚醒剤の所持容疑で逮捕された酒井被告については「不起訴になる」とも報じられていたが、板倉氏は「本人が使用を認めており、社会的影響も考えれば、検察はきちんと起訴するべき」と一貫して主張。酒井被告は毛髪鑑定で“クロ”と判断され、実際に起訴された上、使用容疑で追起訴までされた。

 ただ、すべての展開を予測するのは、さすがに難しいようだ。

 「押尾被告が保釈になるとは、思っていませんでした。同じ部屋にいた女性が死亡しており、薬物の違法性を知っていたかについても供述が変遷していましたから」

 東大法学部出身で、森永ヒ素ミルク中毒事件などの企業犯罪を研究していた板倉氏がメディアに登場するようになったのは40年前ごろ。ロス疑惑やオウム事件など、世間を震撼させる大事件が起きるたびにコメントを求められてきた。

 「いつ取材があっても答えられるように、大体の新聞には目を通してます。判断に迷うこともありますが、冷静、客観的にコメントしようと心がけています」

 最近では、5月から導入された裁判員制度でも忙しい。

 「今のところはうまくいっていると思う。ただ、“密室”の公判前整理手続きの段階で固まったり、審理が短くなりすぎることへの懸念もある」

 さて、10月からは、いよいよ酒井、押尾両被告の公判が始まる。

 覚醒剤の使用時期や頻度について供述が食い違う酒井被告と、夫の高相祐一被告(41)は互いの公判に証人として出廷してバトルが勃発する可能性もある。

 その一方で、酒井被告は「夫と子供と3人で暮らしたい」とも語っているという。

 板倉氏は「裁判官もまさか『別れなさい』とは言えないでしょう」としながら、「酒井被告は執行猶予つきの有罪判決が濃厚。覚醒剤をすすめた高相被告は実刑も考えられます」と予測する。

 押尾被告は、合成麻薬MDMAを一緒に使用して死亡した女性の異変に気付きながら、放置したとする保護責任者遺棄致死罪では立件されていないが捜査は依然、続行。女性の遺族側は民事訴訟を辞さない構えだ。

 「難しいケースですが、覚醒剤を使用した少女が死亡した事件で保護責任者遺棄致死罪を適用した最高裁の判例もある。保護責任者遺棄致死罪でなくても、重過失致死罪の適用はあり得る。立件されれば、民事裁判にも影響するでしょう」

 10月、板倉氏は再び多忙を極めそうだ。(宇野貴文)

【私生活ではアウトドア好き】

 語り口は知的、論理的な板倉氏も私生活ではアウトドア好きで、趣味は古寺めぐりという。

 「鎌倉、藤沢のお寺は全部行ったかな。昔は、江ノ電と自転車で競走するなんて馬鹿なこともしました。江ノ電は速いと時速40キロぐらい出るんですよ」と、意外な一面をのぞかせた。

 

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