劇団紹介コーナー「ピンスポ」第19回は、バレリーナ・舞踏家・タップダンサー・即興家といった様々なジャンルのダンサーたちによるコンテンポラリーダンスを、美しく独創的な舞台美術と共に展開中の「処女航海」(http://syojyokoukai.jimdo.com/)を紹介します。
“感情が剥き出しになる身体”をコンセプトに掲げ、演出・振付の不動まゆうが昨年結成した処女航海。この夏までの1年半の活動は着実に実を結び始めているようであり、観客動員面はもちろん、公式サイトに掲載された高いクオリティーの動画&写真を見て「一緒にやりたい」と希望してくるダンサーたちも増えてきているという。舞台の空気感までもが伝わってくる美しい動画&写真ばかりなので、ぜひダンサーでない方々にも(笑)1度サイトにアクセスして見てみてほしい。不動の演出が舞台美術や光(照明演出)を非常に意識したものであることも一目で分かってもらえるはずだ。
17〜19日に計5公演、ザムザ阿佐谷にて「みだれ髪」の上演を控えた処女航海の稽古場へ。不動を直撃した。
■身体を使って、自分自身を剥き出しにするということが、こんなにも訴える力があるものなのか
幼稚園から高校までバイオリンを学んでいたという不動。彼女の1つの転機となったのが中学生の時だった。ドイツのバレエダンサーであり、振付家であったピナ・バウシュの舞台を観たことであった。
「演劇+ダンス(ダンステアトル)というものを観たのが初めてでした。それまで、与えられた楽譜をいかに上手く演奏し、評価してもらうかを考えていた自分にとってはとても衝撃でした。身体を使って、自分自身を剥き出しにするということが、こんなにも訴える力があるものなのかと! そして公演のラスト、世界各国のダンサーたちに引っ張られて袖から出て来たピナ・バウシュを見て、『いいなぁ』って強く思いましたね。14歳になった私は、バイオリンの勉強だけでなくダンスも習い始めました。学校に内緒で(音楽校に通っていた)。…と同時に、将来は音楽という枠を飛び出して、何か身体で表現することに挑戦していきたいと思ったんです! 大学で学科を選ぶ際、私の中ではすでにそういう考えがまとまっていたので、“音を身体で表現する教育法”であるリトミック科を選択しました。それまで歩んで来たバイオリンの世界とは違う道を選択したこの時が、ある意味、私自身の処女航海への船出だったのかもしれません」
■ビル地下のボイラー室でやったこともあるんです!
大学卒業後、仲間たちと年1回(時には2年に1回)ペースで自主公演・プロデュース公演を行ってきた。そして昨年、ついに劇団を旗揚げ。
「1つの目標に向かっていけると思えるメンバーたちだと感じられたので、劇団化することにしました。その後もサイトやワークショップを通じて、『一緒にやってみたい』という方が増えていっております。嬉しい限りですね。本公演を年1回、実験的な作品に挑戦するサロン公演を年1回のペースでやっていければと今は考えています。サロン公演は、自主公演・プロデュース公演の頃もそうでしたが、劇場という枠に縛られずに、『え!?』と思われるようなところでもやっていきたいですね。ギャラリーやバーはもちろんですが…過去には、アスレチックジムみたいなところや、ビル地下のボイラー室でやったこともあるんです。非常に音響と照明が大変でしたが(笑)。舞台は、やっぱりテレビや本とは違うものです。その場の空気感というものが大きく関わってきます。実際の現場でなければ伝わらないこともいっぱいあると思うんです。…あ、別にそういう事を意識してというわけでもないのですが…私、本当に色々な仕事を経験してきました。普通のOLだけでなく、エレベーターガールやバーテンダー、うぐいす嬢、ラウンドガール、ライター、それから映像制作や音響の仕事もしましたね。ちなみに今でもコードを素早く巻けます(笑)。こういった経験から“色々な人がいる”“色々な世界がある”という事を肌で知る事が出来、だからこそ、ダンス表現にも広がりが出てきたと感じています!」
■《感情ありき》のコンテンポラリーダンス!
処女航海は“感情が剥き出しになる身体”をコンセプトとしたコンテンポラリーダンスを展開していっている。
「ひとりひとりのダンサーが自分から『こういうのはどうでしょう?』と提示してくる事を、さらに本人が気づかないところまで踏み込んで、引きずり出した表現をやりたいと思っています。コンテンポラリーダンスは今、ダンサーに匿名性が求められる事が多いのですが、私はむしろその反対といいますか、ダンサーの感情を取り除いた動きを追求するのではなく、《感情ありき》でやっていこうと考えています。演劇的アプローチの“感情表現”ではなく、誰もが持っている“意識するよりも早く表れてしまう身体反応”を、上手くダンスとして表現していくところまで到達出来ないかと考えています。うちは様々なジャンルのダンサーの集合体です。それが魅力であり、売りです。こちらから1つの振付を当てはめ過ぎては、全て殺してしまうことになってしまうんです。だからこそ、骨組みだけを私が作り上げ、その後の稽古で世界を広げていくという流れで行っていますね。…面白いものですよ。同じ音楽を聞いても、誰1人似通っていない違った踊りをするので(笑)」
■大好きな先生に宛てたラブレターであり、欲望に溢れた内容!
本公演『みだれ髪』は、言わずと知れた、今から110年前の与謝野晶子の名作を指している。
「素晴らしいと高く評価をされている本作品ですが、その本質は大好きな先生に宛てたラブレターであり、欲望に溢れた内容だと思っています。いい作品をと狙っているような流れでは決してなく、“これだけは伝えたい。分かってほしい!”みたいな強い想いが感じられるものです。そういった《強い欲求》を、ダンスで表現していきます。うちの劇団員は皆、自分への執着心を持った者たちばかりです(笑)。…と言うより、私がそういった人ばかりを敢えて選んでいるのですが…(笑)。本公演の見所としては、感情が溢れでる身体と、色彩ですね。日本画のような美しい舞台になるように、光や、舞台美術にとてもこだわっています。それは身体をどのように見せたいかの重要な要素だと思っています。ぜひ、その点にも注目して観ていただきたいです!」
■生きているってことは闘争心を持ち続けること!
最後に本公演に向けての意気込みとコメントを頂いた。
「男性客から『観ていて悲しくなった』『何だか分からないけどイタい…』、その反対に女性客からは『スッキリした!』といった感想を頂戴することが多いうちの作品です(笑)。本番中、私は皆さんと一緒に客席にいます。最後に作品を客席から壊そうと考えています。観てもらえれば、その意味を分かっていただけるのではと。ぜひ劇場に足をお運び下さい。
きょう14日、広島の厳島神社で結婚式を挙げるという不動。ますますの活躍から目が離せない。
処女航海第3回公演『みだれ髪』
【日程】9月17日(金)〜9月19日(日)/計5ステージ
【会場】ザムザ阿佐谷
【演出・振付】不動まゆう
【出演】伊藤啓、奥田麻衣、鐘岡美心、北澤香、栗原恵里佳、田中蕗子、岸川
恭子、不動まゆう
【あらすじ】
くろ髪の千すぢの髪のみだれ髪
かつおもひみだれおもひみだるる 与謝野晶子
百年もむかしに、女が詠った
感情を剥き出しにさせる、それはスキャンダラスなダンス
【サイト】http://syojyokoukai.jimdo.com/
■取材先劇団募集
『ピンスポ』は取材先劇団・ユニットを大募集中です。詳細は本コーナーをプロデュースする、コンテンツプロダクション・株式会社ルートデザイン公式サイトまで! http://contents-pro.com
■チケットプレゼント
処女航海第3回公演『みだれ髪』の9月17日(金)19:30〜&18日(土)14:00〜&19日(日)13:00〜に各3組6名様の計9組18名様をご招待致します! お申込は演劇ライフ(http://engekilife.com/)のプレゼントコーナーより。
次回(第20回)の掲載は9/21(火)です。お楽しみに。







