各国で泥仕合? 長期戦に…円谷プロ敗訴の真相とは 

2010.10.01

 日本だけでなく、世界的にも人気のウルトラマン。その関連グッズの海外独占利用権は、あるタイ人の手元にあった−。9月30日、そんな衝撃の判決が東京地裁で言い渡された。地裁はタイ人実業家側の訴えを認め、作品を生み出した円谷プロダクション(東京都世田谷区)に対し、約1636万円の支払いをタイ人から権利を引き継いだ会社へ支払うよう命じた。この問題の取材を続けているノンフィクション作家の安藤健二氏に寄稿してもらった。

 訴えていたのは、タイ人の実業家、ソンポート・センゲンチャイ氏(70)。日本の東宝撮影所に留学し、ウルトラマンの生みの親、故・円谷英二氏や息子の円谷プロ元社長、故・円谷皐氏と親交を深めたソンポート氏は「皐氏から、ウルトラマンの海外利用権を譲渡するという契約書をもらった」と主張。「契約書は真っ赤な偽物だ」とする円谷プロと真っ向から激突した。両者はこの契約書をめぐり、1997年から10年以上も日・タイで法廷バトルを繰り広げていた。

 これまでのバトルは1勝1敗。日本の最高裁は2004年、「社判は本物。契約書は効力を発揮する」と判断して、ソンポート氏の勝訴が確定。ところが08年、タイ最高裁は「契約書は偽造であり、認められない」として円谷プロが勝訴し、ソンポート氏側は1070万バーツ(約3450万円)の支払いを命じられている。

 ソンポート氏は、01年に独自の新作『ウルトラマン・ミレニアム』を発表。キャラクターグッズを手広く販売していたが、タイ最高裁判決を受け、お蔵入りに。そこでソンポート氏は全権利を日本のユーエム社(東京都港区)に譲り、同社が日本で訴訟を起こす逆襲に出た。

 ソンポート氏は07年、「円谷プロが契約書を無視して、ウルトラマンを海外で商品化したのは違法」として、12億5000万円の損害賠償を円谷プロに求めて提訴。東京地裁の阿部正幸裁判長は、「(ソンポート氏との)契約は有効に成立したものと認めるのが相当」として円谷プロ側の主張を完全否定した。

 ユーエム社は今後、中国や東南アジア市場でのウルトラマン人気を見込み、グッズ販売を展開するとみられるが、各国で円谷プロが訴訟を起こせば長期戦を余儀なくされる可能性が高い。

 今回の判決に円谷プロ法務部は「判決が確定するまではコメントを差し控えたい」とコメント。ユーエム社の上松盛明社長も「まだすべてが確定しないため、お答えできない」と話している。

 

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