横山たかし 師匠やすしに1000発以上殴られた

2010.12.15

 ホラ吹き漫才の横山たかし・ひろし。自称38億円の金ピカジャケットを着て、「大金持ちのおぼっちゃまじゃ〜」とうそぶくのが横山たかしである。松山の高校を卒業して、大阪の養成所「明蝶学院」に入り、そこで出会ったひろしと横山やすしに弟子入りする。

 やすし自身、師匠のノックから「パーフェクト」と言われる要領の良い弟子だったので、自分の弟子には至って厳しい。殴る蹴るは常で、ある弟子など「殴られたハンガーが頭に刺さり、プロペラのように回って飛んで行った」という笑い話が生まれた。20数人いた大半が辞めた。

 相方ひろしは小銭をため、やすしに何度か金を貸していたので、たかしばかりが殴られた。通算1000発以上。逃げることばかり考えていた。

 周囲が見かねて、やすしから離そうと松竹芸能に移籍させた。オカマ漫才で出発したが、当時は際物扱いで売れないまま。20年が経った頃、解散を話し合うが、やっとホラ吹き漫才がウケ出したので、少しだけ頑張ろうと誓った。そして26年目、上方漫才大賞受賞。

 ホラ吹き漫才は大金持ちの誇大妄想を広げまくり、ひろしがその矛盾を次々と暴いていく。ここで発するたかしの「つらいの〜ぉ」「生き〜よぉ」は、師匠にいじめられた時に出た言葉だ。

 やすしが弟子に迫る口癖は「一着とれ、一番になれ」。実は、この「一番」を、たかしは舞台で実現した。そう、「世界一の大金持ち!」。師匠に対する意地から生まれた空想話としても、一番は一番だ。決め台詞「笑えよ〜ぉ」には、居直った男の潔さがある。 (演芸評論家 今村荘三)

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