生々しいシーンも…上映中止&公開延期、映画の中身

2011.03.16


公開が延期となった中国映画「唐山大地震」【拡大】

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災で、クリント・イーストウッド監督の「ヒア アフター」と中国映画「唐山大地震−想い続けた32年−」(フォン・シャオガン監督)が、上映中止や公開延期となった。この2作品、具体的にはどういう映画だったのか。

 まず、上映中止となった「ヒア アフター」だが、映画の冒頭、2004年のスマトラ沖地震で起こった巨大津波が、人も建物もすべてを押し流し、ヒロインが臨死体験する場面がある。ハワイのマウイ島で撮影され、英国内のスタジオにある巨大な水槽で撮影した映像やCGと合成されている。

 大津波のニュース映像が繰り返し流される現状では刺激的だろう。しかし映画評論家の垣井道弘氏は「イーストウッドが描きたかったのは、誰にも分からない死後の世界を身近に体験した人たちの精神世界。この作品には3人の主人公がいて、死者の声を聞くことができる霊能者の男や双子の兄弟を亡くした少年の苦悩も描かれている。パニック映画のような派手な作品ではない」という。

 一方、26日の公開が延期された「唐山大地震」はどうか。1976年に中国河北省の工業都市・唐山を襲ったマグニチュード7・8の直下型地震で、アパートが丸ごと崩れ落ち、あちこちに土煙があがり、人々がスクリーンいっぱいに逃げまどうシーンが冒頭で展開される。姉弟ががれきの中に閉じ込められるが、自分ではなく弟の救出を頼む母の声を聞いた姉は、母の元には戻らず、違った人生を歩む家族を描いている。

 映画評論家のおかむら良氏は、「地震のすごさを見せるパニック映画ではなく、地震で生き方が変わった家族のその後をていねいに描いている」としつつ、「後半の見どころは主人公たちがボランティアで参加する2008年の四川大地震シーン。ここもがれきの山で、今回の被災地を見ているような気分になる。唐山大地震と四川大地震のW地震映画で、今の時期に見るには生々しすぎるかも」とも。

 上映中止・公開延期には一部の映画評論家から「映画の本質を分かっていない」と批判の声も上がっているが、生々しいシーンが被災者や被災関係者の心情を傷つける可能性を考えると、やむをえない措置かもしれない。

 

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