(52)ブラジル

2011.08.02

連載:ピンスポ


本公演出演者たちによる集合写真【拡大】

 劇団紹介コーナー「ピンスポ」第52回は、いよいよ紀伊國屋ホールへと進出!「世にも奇妙な物語」(フジテレビ系)「相棒」(テレビ朝日系)などのテレビ・映画作品の脚本も手掛けるようになり注目度がますます増しているブラジリィー・アン・山田が率いる劇団「ブラジル」(http://www.bra-brazil.com/)を紹介します。

 本コーナー第50回でご紹介させていただいた演劇プロデュースユニット・ジェットラグの脚本も手掛けていたブラジリィー・アン・山田(つまり、本公演と同時並行)。先に述べた通り、注目度がますます高まっている。そして劇団ブラジルのほうもどんどん勢いが増している! そんな劇団ブラジルの今回の紀伊國屋ホールへの進出は、劇団の1つのターニングポイントになるといっても過言ではない、要注目の公演だ。演劇ファンはもちろんのこと、まだ舞台を観たことがないという人も、会社・学校が休みのお盆時期に行われる本公演をぜひチェックしてほしい!

 8月14日(日)〜16日(火)に計4公演、新宿紀伊國屋ホールにて本公演『さよならまた逢う日まで』の上演を控えたブラジルの稽古場へ。脚本・演出のブラジリィー・アン・山田、そしてメンバーの西山聡と諌山幸治を直撃した!

■自分が脚本・演出だけに専念した公演が評判が良くて

 高校生時代、鴻上尚史がパーソナリティーを務めていたラジオ番組『オールナイトニッポン』が大好きだったというブラジリィー・アン・山田。

 「もともと演劇に興味があったというわけではないんですよね、実は。鴻上さんという面白いトークをしている人(笑)に興味を持って調べたら、第三舞台という劇団をやられているということを知って、『へぇ、そんな世界もあるんだ』って。で、たまたま実家が早稲田に近かったということもあり、早稲田大学の学生劇団を手始めに色々な作品を観に行くようになって、『あ、芝居って面白そうだな』って…それからですね。ですので、宝塚や劇団四季、大きな舞台を知ることもなく、この世界に足を踏み入れてしまいました(笑)。もともと自分は役者として10年やってきているのですが…って、正式に役者を引退したわけでは決してないんですけど(笑)…堺雅人さんなどが参加していた東京オレンジという劇団等での役者の活動と並行して、“自分でも挑戦してみよう!”と98年に個人ユニットとして『ブラジル』を起ち上げました。で、それから役者に加えて、脚本と演出も行うようになったんですけれど…とある公演、自分が脚本・演出だけに専念し、役者として出なかった公演が…まあ、すこぶる評判が良くて良くて(笑)。しかもまた、自分の思っていた通りのことが出来た。それからは脚本・演出に専念しています。最近ではテレビドラマなどの脚本も書かせていただけるようになり、お仕事をしながら映像のプロの現場で学んだ事を、自分の舞台にフィードバックするなど、色々と上手くいくことも多くなってきています! ただ1点…本名(杉井邦彦)の1字も入っていない、その場の思いつきだけで付けてしまった<ブラジリィー・アン・山田>という名前がどんどん一人歩きするようになってしまったのだけがちょっと(笑)」(ブラジリィー・アン・山田)

■【苦笑系喜劇】をキャッチコピーに作品展開!

 ブラジリィー・アン・山田は、脚本・演出にいくつかのこだわりを持っている。

 「舞台を観に行くということは、役者を観に行くことだと思っています。ですので、ただ台本が面白ければいいというわけではないと思っているんです。自分の台本を通して、その役者の魅力を引き出したいですし、その役者の魅力を多くの人に知ってほしいですね。ファンの人もそれを楽しみにしているでしょうし。とにかく、連日の稽古は、台本の面白さだけで決して終わることのないようにするためのものだと思っています。うちは【苦笑系喜劇】というのをキャッチコピーに作品展開してきています! 人間、笑っちゃいけない状況や悲劇的状況(葬式や謝罪の場など)でこそ、思わず笑ってしまうような苦し紛れの言い訳をしたりなど、普段では決して取らないであろう行動を取ってしまったりするものです。そんな行動を取る当人も、そんな行動を取られた相手も、笑っちゃいけない状況だから笑えない。でも観客という第三者の立場で眺めると…当人たちが真面目にそんなやり取りをしていればしているほど、おかしくてたまらない。でも、人間の悲しい性とでもいうべきそんな様子を、他人事として大笑いも出来ない。笑いは笑いでも苦笑になってしまう。…と、そこまでうちのキャッチを案内しておいて、本公演ではそういった部分を前面に押した作品ではないんですけどね(笑)。演出的なこだわりとしてはまずは美術ですね。演劇の魅力の1つに、『舞台上は観客の想像力によってどんな空間にもなる』ということは確かにあると思います。ですが、日常の景色(普段目にしている景色)の中で非日常な出来事(ありえないこと)が起こっていくほうが、自分はある意味想像力をかき立てられるんです。物語の力をより感じ取っていただけると思っています。そういう考えで、ブラジルはリアルな美術セットで舞台を構成しています。また、音響にもこだわっています。ネタばれにもなってしまうんですけど(苦笑)…劇中ずっとSE(虫の音や自動車や電車などの効果音)を薄く流し続けているのですが、シーンによっては敢えてバッサリ無音状態にするんです。観客の中にはその効果によって“すごく集中して観ている。世界に入り込んでしまっている”と錯覚してしまう人もいることでしょう。そして最後に照明……こちらは普通にいいと思います(笑)」(ブラジリィー・アン・山田)

■会場が大きくなればなるほど【言葉の力】が重要

 本公演「さよならまた逢う日まで」は2008年に上演し絶賛された、劇団の看板作品の1つ。今回紀伊國屋ホール進出にあたり、ブラジリィー・アン・山田は本作品の再演を選んだ。

 「『さよならまた逢う日まで』は本当に評判が良くて、初演時には半分以上のお客様がリピーターとして来てくださいました。でも、劇場が小さかったこともあり、最終日には30名近くものお客様を満席のために帰してしまった……まあ、うちにとってはある意味最も辛い想いをした作品でもあります(笑)。いつもの苦笑系喜劇とはまたちょっと違う作品ですが、自信を持ってお送り出来る作品ですね! 今回再演するにあたり、台本に改めて手を入れました。紀伊國屋ホールは3倍以上の客席数ですので、やはり全く同じというわけにはいきませんし、初演時には上手く描き切れなかった部分……難しかった設定だったり、登場人物の心理だったり、裏切りの流れだったりを自分の中で再整理したんです。《裏切り者は誰だ?》という駆け引きを最後まで存分に楽しんでもらえることと思います! とにかく、劇場がこれまでのところからすると倍以上のところというのを意識して今は稽古しています。“しどろもどろ”といった表現が“滑舌が悪い”というだけに見えてしまったりしますし、役者の繊細な動きに気付いてもらえなくもなります……会場が大きくなればなるほど、【言葉の力】が重要となってくると自分は考えているんです。セリフのチョイスやメリハリが大切だと…。先々はもっともっと大きな劇場でもやっていきたいと思っていますので、そういった意味でも、今回の公演で自分自身も劇団としてもステップアップしたいです! ぜひ劇場に足をお運び下さい!」(ブラジリィー・アン・山田)

■ブラジリィー・アン・山田は演出家としてもっと評価されても

 最後にブラジルメンバーである西山聡と諌山幸治に本公演への意気込み&メッセージを頂戴した。

 「3年前好評頂いた代表作を再演します! 実はブラジルの長編公演では、これが初めての再演なんです(もともとは短編作品であったのですが)。キャストは9名の内5名が初演と同じメンバーで、新たに4名のキャストに加わって頂きました。作品内の『4年前に失敗した強盗の“リベンジ”の為、昔の仲間に新たな仲間を加えて更に大きな犯罪を…』というストーリーに不思議とリンクするんですよね、これが。初演が失敗した訳じゃ決してないんですけども(笑)。新たに加わったメンバーも「クロムモリブデン」の奥田ワレタさん、「KAKUTA」の高山奈央子さんはじめ、実力あるメンバーばかり。稽古場からガンガン実力見せつけられてます。今から、紀伊國屋ホールで小劇場の仲間達と芝居ができる恍惚と不安に胸が高鳴ります。今回は評価されたいという気持ちより、楽しみたいという気持ちが上回ってます。いい祭りにしたいですね。頑張ります!」(西山聡)

 「今までは『紀伊國屋なんて興味ねーよ!』と強がってましたが、実際、自分が出演する事が、ブラジルで公演が出来る事が決定すると楽しみでしょうがないです。格好悪いですね、俺(笑)。せっかくやるんだから、なんとしても成功させたいです、作品も興行も! 脚本・演出のブラジリィー・アン・山田(名前長げーよ!)は最近、作家として仕事が増えてきましたが、僕は演出家としてもっと評価されても良いと思ってます。『さよならまた逢う日まで』は色々な劇団で上演されてきましたが、アンが演出し、僕らが出演している作品をぜひ観てほしいです。…とは言っても、ブラジルは少人数の劇団です。今回も強力で贅沢で濃い客演陣の力を借りて頑張ります!」(諌山幸治)

ブラジル本公演「さよならまた逢う日まで」

【日程】8月14日(日)〜8月16日(火) 計4公演

【会場】新宿紀伊國屋ホール

【脚本・演出】ブラジリィー・アン・山田

【出演】中川智明、西山聡、櫻井智也(MCR)/諌山幸治、信國輝彦、服部ひろとし、加藤慎吾、高山奈央子(KAKUTA)/奥田ワレタ(クロムモリブデン)

【あらすじ】かつて仲間たちといっしょに強盗に失敗し、ひとりで罪を被った男。4年の服役を終え、男は出所してきた。男は“リベンジ”を誓い、昔の仲間を集め、新たな仲間たちを加え、強盗計画を実行しようとするが…。

【サイト】http://www.bra-brazil.com/

■取材先劇団募集

『ピンスポ』は取材先劇団・ユニットを大募集中です。詳細は本コーナーをプ

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次回(第53回)の掲載は8/16(火)です。お楽しみに。

 

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