(63)モリー先生との火曜日

2012.02.07

連載:ピンスポ


いよいよ稽古開始!【拡大】

 劇団紹介コーナー「ピンスポ」第63回は、劇団四季で30年以上主要キャストとして活躍し、退団後も数多くのミュージカルに出演し続けている光枝明彦、昨年帝国劇場100年記念公演『レ・ミゼラブル』の主演に最年少で抜擢された吉原光夫、そしてミュージカルだけでなく幅広いジャンルの舞台に出演し、読売演劇賞優秀女優賞を3度も受賞した土居裕子という豪華キャストが、ピアノとバイオリンの生演奏とともにお送りする音楽朗読劇「モリー先生との火曜日」(http://www.morrie.tv/)を紹介します。 

 「自分自身に満足しているかい?」…原作『モリー先生との火曜日』は、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵された教授・モリー先生の言葉を、教え子・ミッチが記してベストセラーになったノンフィクション小説。作品内において語られる“無駄なものをはぎ取って本当に大切なものを見つめよ”というモリー先生の教えをまるで実践するかのように、本公演では《音楽朗読劇という、無駄のないシンプルな表現》で応えてみせている! 仕事に追われている人・過去の自分に後悔がある人・年を取ることを恐れている人…本公演はさまざまな場面に直面している人たちに向けた、まさに“人生の授業”だ!!

 2月18日(土)に計2公演、ティアラこうとうにて上演される音楽朗読劇『モリー先生との火曜日』の稽古場へ。本公演に出演する光枝明彦・吉原光夫・土居裕子、そして音楽監督・ピアノ演奏の小原孝とバイオリン演奏の真部裕を直撃した!

■混沌とした日本に“生の哲学”を伝えたい!

 本作品は今回で3回目の公演となる。4年間に渡ってモリーという役に向き合ってきた光枝は、「このモリーという役は簡単に到達しえない壮大な“目標”」であると言う。

 「モリー・シュワルツ役の光枝です。彼(モリー教授)はボストンのブランダイス大学で35年に渡って社会心理学を教えていたという人物です。机の上だけの学問が嫌いで、博士号を取った後に精神病院に勤めていたこともあるという変ったところもある…なんというか、ただの教授でなかったのは確かなようです。ダンスや音楽の才能もあって、ダンスホールでよく踊っていたみたいですし。ロックでも何でも踊っちゃうっていうのはすごいですよね(笑)。そんな明るく元気な人なんですが…幼少時代は辛い思いもして生きてきたようです。父親がロシアからの移民で、幼いころから新聞売りをするほど貧乏だったモリーは、貧乏から抜け出すために学業に励み続け…様々な苦労を重ねながら、負けずに地位を築いていった人なんです! ですが、60代になってALSという、身体を動かすための神経が徐々に壊れていく難病にかかってしまいます。足は次第に動かなくなり、座れなくなり…というように、それまで当たり前に出来ていたことが出来なくなっていってしまいました。しかし、彼のすごいところは、そこで気持ちを切り替え、病気を逆手にとって生きるようになるんです。彼の所を訪れる教え子たちに、“自分は死んでいくけれどあなたたちは生きていく。だから、安らかに死ぬように安らかに生きよ”という教えを最後まで説き続けていくんですよね。生き方を説きながら死ぬというのは、ある意味で理想的な死だと思います。1つ1つのメッセージは、どれも大切なものなので、それを落とさずにしっかりと、彼の“生の哲学”を舞台を通して伝えたいと思っています!! お客さんには、場面場面でいろんなことを感じていただけたら嬉しいですね。彼と私は、人生に対して前向きなところは似ていると思いますが、これほど起伏に富んだ人生経験は私にはないですね。もっとのほほんと生きてきましたよ(笑)。彼自身は愛を失った過去を多く持ち、でも愛を持って生きることを訴える…そういった泥にまみれた中でも、美しさを求めるという生き方はなかなか近付けないなあと思っています(苦笑)。彼が亡くなった年に自分もだんだんと近づいていってるのですが…なるべく長生きして、もっともっと彼(本作品)から学び、それを伝えていきたいですね。彼の《支え合って生きていかなければならない》という言葉は、世界中の人たちへ向けたメッセージだと思っています。東日本大震災以降、日本でも混沌とした状況が続いていますが、支え合うことの大切さをこの作品を通して改めて捉え直していただけたらと思っています!!」(光枝)

■まるでモリー先生の授業を受けているような感覚に!

ミッチを演じる吉原に、本公演における自身の役の見所はどこかと尋ねるとなんと「ない」という言葉が返ってきた。彼は言う。「ミッチはある意味、見ている人(お客さん)の分身的存在。あくまで彼は“モリー先生の見所を伝える一生徒”です」と…。

「僕はミッチ・アルボムという、この作品の原作の著者を演じます。ミュージシャンを目指していたはずが、スポーツライターになり、仕事に追われる日々の中で16年ぶりにモリー先生と再会する、かつての教え子です。実在の人物ではあるのですが、ミッチ・アルボムが実際どういう人なのか…2枚目なのか、チャラチャラしているのか…そういったことは敢えて取り入れないようにし、自分の中から生み出すようにしています。光枝さんと土居さんとは違い、僕は今回初参加で、ミッチを初めて演じます。最初ミッチを演じると聞いた時は『キャラが違うよー』とも思いましたが(笑)、でもやっていく中で、あることに気付きました。ミッチはある意味、見ている人(お客さん)の分身的存在なんだと…脚本を読むと、この舞台を通してお客さんが、まるでモリー先生の授業を受けているような感覚になるように描かれていると思うんですね。だから、僕は一生徒としてだけでなく、“モリー先生の世界の入口になれたら”と思って演じています!! 人生の意味を単調に言葉で説かれても、それは本当につまらないと思うんです。でも本公演は、清らかで美しい音楽や言葉が、見ている人を自然と作品世界へと導いてくれるようなものになっています。『それって綺麗ごとでしょ?』と言う人もいるかもしれません。でも、綺麗ごとを舞台で流したっていいじゃないかと僕は思います! この作品は自信を持ってお届け出来るものとなっていますんで!」(吉原)

■人生に手遅れはない。気付いたときが“そのとき”

 モリー先生のミッチへの授業を舞台上で聞く存在である土居。彼女はそれがとても「贅沢で幸せ」だと語る。

「私はジャニーン・アルボムという、モリー先生の授業を受けるミッチの奥さんの役です。彼女の職業はジャズシンガー。ミッチのことを愛しているのですが、ワークホリックな夫と意思疎通が長い間上手くいっていなかったようですね。子供を望んでいたようですけれど、それもかなわず…。そんな中でミッチがモリー先生と再会する…というのが本作品のはじまりです。モリー先生のお話を聞くと、ジャニーンと本質的に近い部分があるように思えます。だから彼女は、夫がモリー先生とディスカッションすることに対して肯定的に捉えて、先生が夫に“気付き”を生み出してくれると信じていたのではないかなと…。私は、ジャニーンほど出来た人間ではないですけれど(笑)、歌を大切に思っている部分は共通していますね。あと、私の主人も仕事ばかりしているサラリーマンなので、早くモリー先生と会ってくれないかなと思っています(笑)。 役柄としては、主軸の2人の会話を進める進行役であるとともに、シンガーの役ですので…ミッチの心情や全体のテーマを歌うシーンが見所となっています! とにかくこの役は、いつも特等席でモリー先生の言葉を聞くことが出来て、本当に贅沢で幸せだと思っています!! モリー先生の言葉は、本当に心に染み入るもので、しかも毎回聞くごとに染みてくる場所が違うんですよね。人生を重ねれば重ねるほどより染みくるものだと思うし、より深さを感じるものなのではないかと思っています。最近の私の背中を押してくれているのは、“年を取ることを恐れているといつまでも幸せになれない”という言葉……お客さんもモリー先生の1つ1つの言葉を、自分と重ねながら聞いていただけたら嬉しいです! この作品は音楽もすごく贅沢で、2人(の演奏)で十分完璧なオーケストラになっていると思います。そちらにもぜひ注目していてほしいです! いつがスタートかはそれぞれ違って、手遅れなんてことはない。気付いたときが“そのとき”……このお芝居は、きっとあなたの“そのとき”になる作品だと思います。ぜひ劇場に足をお運びください!!」(土居)

■“生きている舞台”ならではの音楽を!

 最後に、本公演に生の演奏で色を添える、音楽監督・ピアノ演奏の小原孝とバイオリン演奏の真部裕から、上演へ向けての意気込み&メッセージを頂戴した!

 「モリー先生は今回で3度目の上演ですが、それ以前にラジオドラマとして2日間にわたり放送しました。嬉しい事に大きな反響を戴き舞台化が実現したのです。この公演と公演のために新しく制作したモリー先生の音楽集CD『星になって』の収益の一部は、日本ALS協会(http://www.alsjapan.org/contents/index.html)に寄付されますし、少しでも病気の皆さんの役に立てたらいいなという想いで私はおります。ALSという病気について少しでも多くの方に知っていただきたいと思っています。この作品のテーマは“生”や“死”について…とても重いテーマなんですが、だからこそ《音楽は美しく》と考えています。あまり暗すぎると後味の悪いものになってしまうので、最も暗い場面こそ、最も美しい音楽をと…。メッセージが抵抗なく伝わるように、最小の編成でシンプルに美しい音楽を添えるという想いで作っています。とは言っても、最初から完全に決められた音楽を演奏するのではなく、毎回タイミングを聞きながら即興的に表現している部分が大きいですね。役者との駆け引きや、照明とのバランスからとっさの判断で演奏する“生きている舞台”なんです! 普通の舞台とは全然違って、ホールの様子や1回1回のセリフの調子で変わる演奏なので、本当にその場にあった“生の音楽”をお届けできるのではないでしょうか。楽譜だけでなく脚本もピアノに置いて舞台に臨んでいるんですよ! 役者さんと同じ本を読みながら、役者さんたちは朗読に、僕たちは音楽に入る…一緒の本で、一緒にいいものを作っていきたいと思っています。ぜひお越しください!」(小原)

 「普段はいきものがかりさんやaikoさんのサポートなどをさせて頂いており、自分がこうして表に出させて頂く機会はそう多くはないので、恐縮です(笑)。小原さんも仰っていたように、この作品は決め決めではなく、“自由”に表現することが出来ます。いつも譜面に細かく書かれている方が多いので、この公演は本当に貴重な経験ですね。特にバイオリンのアカペラのシーンでは、役者さんの感情に合わせて、感じたテンポで演奏をしています。本番は役者さんももっと感情が入るでしょうし、アカペラも今とは違うものになっていると思いますね! 朗読中は音楽に入り過ぎず、あくまで“朗読に耳がいくように演奏”し、歌のときは一緒に大きく盛り上げる……と、普通の音楽とはまた一味違った表現になっているのではないでしょうか。舞台上に自分がいる意味を考えつつ、少しでもたくさん華を添えられたらいいなと思って演奏しています。公演数は少ないですが、逃さず見に来てください!」(真部)

音楽朗読劇『モリー先生との火曜日』

【日程】2月18日(土)13時/17時30分の計2公演 (各公演終了後、モリー・シュワルツ氏ご子息・ロブ・シュワルツ氏によるQ&Aタイムあり)

【会場】ティアラこうとう(最寄り駅:住吉駅)

【原作】ミッチ・アルボム「TuesdayswithMorrie」

【脚本・訳詞】高橋知伽江

【音楽監督】小原孝

【企画・オリジナル演出】井料拓也

【演出】山崎義也

【出演】光枝明彦、吉原光夫、土居裕子/小原孝(ピアノ演奏)、真部裕(バイオリン演奏)ほか

【あらすじ】スポーツコラムニストとして仕事に忙殺される日々を送るミッチ・アルボムは、ある日偶然、テレビで大学時代の恩師の姿をみかける。恩師・モリー先生は、難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていた。戸惑いながらも16年ぶりの再会を果たしたミッチは、死に直面したモリー先生が幸せそうな事に驚く。「憐れむより、君が抱えている問題を話してくれないか」。その日からモリー先生の、心を揺さぶる最後の授業が始まった。テーマは愛、家族、仕事、そして「いかに自分らしく生きるか?」について。それは、この上なく幸せで、歓びに満ちた時間。そして、ミッチは、人生の輝きを取り戻してゆく…。

【サイト】http://www.morrie.tv/

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次回(第64回)の掲載は来週2/21(火)です。お楽しみに。

 

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