中村勘三郎“食道がん”とうつ病の関係…医学部教授が解説

2012.06.19


初期の食道がんが見つかった勘三郎【拡大】

 歌舞伎俳優、中村勘三郎(57)が初期の食道がんであると18日、所属事務所がマスコミ各社に宛てたファクスで発表した。すでに治療を始めているという。勘三郎といえば、2010年暮れに特発性両側性感音難聴を発症。うつ症状も伝えられていたが、見事に克服して隅田川畔での「平成中村座」の公演を先月、終えたばかりだ。

 勘三郎は「皆様方の暖かいご支援のもと、平成中村座7カ月のロングラン公演を無事に終え、57歳の誕生日会でドンチャン騒ぎをした後の事で私自身も大変に驚いちゃいました」とコメント。「新たに与えられたこの試練に立ち向かい復帰に向けて治療に専念いたします! 一日でも早く元気な姿をお見せできる様に!! 改めて、皆様方にご迷惑、ご心配をおかけ致します事を深くお詫び申し上げます」と早期の復帰を約束している。

 関係者によると先月30日、無事誕生日を迎えた勘三郎は、アメリカ旅行に備えて、病院で検査を受け、「ごく初期の食道がんが見つかった」という。9、10月の公演は休んで治療に専念する。

 勘三郎はここ1〜2年、突然耳が聞こえにくくなる特発性両側性感音難聴を発症。過労など強いストレスによるうつ症状も指摘されていた。こうしたストレスもがんの誘因になるのだろうか。杏林大学医学部精神神経科の古賀良彦教授が説明する。

 「がん患者がうつ病を併発することは珍しくはありませんが、うつ病になった人ががんになるという話については、科学的な根拠が示されていません。確かにうつ病になると胃潰瘍や高血圧などの病気になりやすいのですが、うつ病とがんの関係は明らかになっていないのです。ただし、うつ病が間接的にがんの引き金になることはあり得ます」

 人間は大きなストレスを抱えていると、身体にさまざまな悪影響が生じる。うつ病の人も大きなストレスを抱え、胃に潰瘍はできるものの、胃がんにはならないという。ただし、精神状態が不安定で夜眠れずに生活リズムが乱れ、落ち込んだ気分を何とかしようと多量の飲酒へ走る人もいる。食道がんのリスクファクターのひとつは飲酒であるだけに、うつ病で乱れた食生活が、食道がんへと結びつくことはあり得るそうだ。

 「うつ病の患者さんは、お酒をたくさん飲む、あるいは、喫煙量が増えるといったことがあります。いずれもがんの危険因子です。また、免疫力も低下しやすい傾向があるため、直接うつ病ががんを発症させるのではなく、間接的にがんになりやすい生活習慣に導いてしまうことがあるのです」

 古賀教授はこう付け加えた。

 「がん治療では前向きなファイティングスピリットが、治療の経過の後押しをします。もともとうつ病を併発していると、治療の妨げになることがあるので注意が必要です」

 勘三郎の復帰を期待したい。

 

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