伝説のまま消えていった“エマニエル夫人”

2012.10.30


お世話になりました、シルビア・クリステルさん(AP)【拡大】

 映画「エマニエル夫人」(1974年フランス)で知られる女優シルビア・クリステルさんがオランダの病院で亡くなった。60歳だった。私より年下とは思わなかった。まだ若いよね。

 セックスに目覚めた外交官夫人を描いた「エマニエル夫人」は、ポルノ映画というフレコミだったのに、映画館は若い女性で大盛況だった。何か時代が変わったと思ったものだ。

 私たちが若かりしころ、「平凡パンチ」などのグラビアで、杉本エマ、小山ルミ、大映の渥美マリ(のちに渥美まり恵)、リンゴで股間を隠した麻田奈美…らセクシー・タレントの肢体を見て心と下半身を躍らせた。

 当時は今みたいにヘアヌードにはならないし、セクシー・アイドルがゴマンといる時代じゃなかったけど、その分、忘れられないね。彼女たちが載った雑誌をワルガキたちと回し読みすることで、みんなで共有しているような気もした。

 ただ、年齢を重ねたセクシー・アイドルが、ときどき「あの人は今」的な企画に登場することがあるけど、アレを見て、「ああ、オレの青春アイドルなのに、ちょっとイメージが違っちゃったな」と思うこともあるよね。

 しかし、シルビア・クリステルさんは「エマニエル夫人」が世界的にヒットして、逆にそのイメージが強すぎて、その後はそんなに多くの映画に出演していたわけではない。特に晩年は、肺がんなどを患って闘病生活が長く、ほとんど私たちの前には姿を見せなかった。

 だから、年をとってシワシワかダブダブになった肉体を見せていない。「オレの青春を返せ」と後ろ指を差されることもない。

 つまり、籐の椅子に座っていた「エマニエル夫人」のポスターのイメージのまま亡くなったということ。伝説のまま消えていったわけ。

 確かに、スポーツ紙などでも「シルビア・クリステル死去」というより、「エマニエル夫人が亡くなった」という見出しが多かったよね。

 そういう意味では、あの007シリーズのボンド・ガールにも似ているね。インパクトが強すぎて、演技の幅が広げられず、映画界からもすぐに消えてしまったので、ボンド・ガールは何十年経っても、いつまでもボンド・ガールのイメージだよね。

 「ドクター・ノオ」のウストラ・アンドレス、「ロシアより愛をこめて」のダニエラ・ビアンキ、「ゴールドフィンガー」のオナー・ブラックマン、「サンダーボール作戦」のクローディーヌ・オージェ…などのセクシー・ショットは、目を閉じれば、すぐに思い浮かぶね。

 吉永小百合さんみたいに清楚なまま年を重ねていく人もいいけど、「エマニエル夫人」のようなセクシー女優の思い出も、私の青春の1ページ。それがまた1人消えていく。何か切ないよね。

 ボンド・ガールの皆さんは、今、どうしているんだろうか。孫に囲まれて、幸せに暮らしているのかなぁ。

 

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