木村拓哉の折り返し点…キング・カズと通じる足跡

2012.10.31


どう折り返すか。カズ(写真)とキムタクには共通点が多い【拡大】

 刑事・捜査もの、医療ものが相変わらず高視聴率をあげている秋ドラマ。

 若者の群像劇や恋愛系トレンドものが人気だった時代は既に終焉。同時に、ライフスタイルだけでなく、恋愛志向や生活習慣、家族観などあらゆることにおいての多様化で平均視聴率が20%を超えるドラマは生まれにくい土壌になった。

 1996年の『ロングバケーション』、97年『ラブジェネレーション』、2000年『ビューティフルライフ』、01年『HERO』、07年『華麗なる一族』…。どれも木村拓哉(39)主演で驚異的な数字を叩き出し、『華麗なる−』は最終回で40%近い数字になっていた。

 ところが今は主演が誰であれ、ストーリー展開の面白さやセリフのうまさがない限り、見てもらえない。

 脚本家、演出家の技量もかなり大きな比重を占める。ある意味、本来のドラマ作りはこうあるべきだという原点に立ち返ったとも言える。

 木村主演のコメディータッチで描く『PRICELESS〜あるわけねぇだろ、んなもん!〜』に注目が集まるが、このところの木村を見ていると、アイドルとしてのあり方に変化が見えてきた。

 人気絶頂期の彼は、常に性別や世代を超えて注目される憧れの存在だったが、徐々にひとりの男性の生き方として、またライフスタイル発信者として、オピニオンリーダーになり、今はどこか守護神的ポジションになっていると見る。

 それはジャニーズ事務所の後輩たちだけに通じるのではなく、アイドルを目指している全国の少年たちに留まらず、若い世代の守護神でもある。

 人気者になり売れっ子になっても活躍できる時期は短いと言われる芸能界。10代でデビュー、まもなく40代を迎えるが、常にトップに居続け、アイドルの熱をそのままに大人の社会人としてもハイポジションにいる彼は、目標となるトップランナーのような存在となっているのだ。

 そのありようは、さきごろフットサル日本代表として再び脚光を浴びているサッカーの三浦知良(45)に通じる。

 実力を持ち、活躍をし続けるも、若い選手たちの台頭でサッカー日本代表からは外れたが、サッカーを志す少年少女たちやプレーヤー以外の国民も、誰もが彼にカリスマ的存在として長く現役を続けてほしいと願っている。

 そこには、最年長現役プレーヤーへの挑戦ということだけでなく、サッカーを通じてのブレない生きざまや、人並みはずれた努力を重ね続ける彼への賛辞や尊敬が込められている。

 本人が雄弁に語るわけではないが、その生きざまを誰もが指標とする。

 木村も、三浦選手と似たポジションに来ている。努力が足りない、人間関係を築けないと言われる若い世代に説教するわけでも語るわけでもないが、彼の歩んできた足跡に大きなメッセージとエールがある。

 努力を続け、常に考え、結果を出し続け、安穏とした日々に自分を置かない潔さを見せ続け、気づけば40歳という人生の折り返し点にいるが、まだまだ進化しそうな勢いがある。

 後に続く人たちにとって、これほど大きな標は他にない。

 ■酒井政利(さかい・まさとし) 和歌山県生まれ。立教大学卒業後、日本コロムビアを経てCBS・ソニーレコード(現、ソニー・ミュージックエンタテインメント)へ。プロデューサー生活50年で、ジャニーズ系・南沙織・郷ひろみ・山口百恵・キャンディーズ・矢沢永吉ら300人余をプロデュースし、売上累計約3500億円。「愛と死をみつめて」、「魅せられて」で2度の日本レコード大賞を受賞した。2005年度、音楽業界初の文化庁長官表彰受賞。

 

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