小沢昭一さん追悼 「ハーモニカブルース」で雨中の出棺

2012.12.17


小沢昭一さんの葬儀で弔辞を述べる加藤武【拡大】

 戒名は「洽昭院澹然一哲居士(こうしょういん・たんねんいってつこじ)」。豊富な見識をユーモアを持って伝えたという意味が込められた。

 今月10日に、前立腺がんのため83歳で亡くなった俳優、小沢昭一さんの葬儀が15日、東京都新宿区の千日谷会堂で営まれ、約500人が参列した。

 中学以来約70年の交友があった俳優の加藤武(83)は、小沢さんを「あんた」と親しげに呼び掛けながら弔辞を述べた。「けいこが大好きで、幕が上がるとかーっと熱くなり、D51が驀進(ばくしん)するようだった。放浪芸の研究は文化史に残る偉業。あんたはすごい人だった」

 棺には1万414回続いたラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」で次回放送予定だった台本が収められ、加藤は「私もまだやりたいことがあって、これを済ませたら行く。待っていてちょうだいの心だぁ」と、小沢さんの番組の決まり文句で、締めくくった。

 芸能ジャーナリストの竹川徹さんは数年前、最後にインタビューしたときの思い出を明かす。

 「大きなマスクを取ると顔にはいくつも絆創膏。転んで打ったのだという。だから写真は撮らないでくれと。それでも取材を断ることなく、赤坂の喫茶店の2階で話をしていると、小沢さんがだんだんに後ろにそっている。いまにも寝てしまいそうだ。あまりにも不自然なので、どうしたのかと尋ねると、道路を隔てたガラス張りの店の美容師がミニスカートで、それがのぞけないかと思って、と」

 伝統芸能、とりわけ落語に造詣が深かった。

 「個人的には『野ざらし』の(春風亭)柳好、前の(二代目三遊亭)遊三がとても好きで、という言葉が小沢さんの人柄を表していました」

 江戸前の気風を好み、「ご自身の映画についても、『撮り終わった映画は見ない』と。映画雑誌を読み直して、記憶を呼び戻してきてくださった。とても不思議な感じでした」と竹川氏。

 雨の中の出棺では、小沢さんが歌い、独奏する「ハーモニカブルース」が流れた。

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