代役・宮沢りえの見上げた女優魂 舞台は“伝説”に!

2013.05.16


今後の舞台も目が話せない宮沢りえ【拡大】

 12日に千秋楽を無事終えた東京芸術劇場の「おのれナポレオン」(三谷幸喜作・演出)は、伝説の舞台となった。

 もともと前評判も高く、私も観ようとしていた矢先、ヒロインの天海祐希が軽度の心筋梗塞で降板。楽日まで5日を残してのハプニングだった。天海といえば、休むことを良しとせず、宝塚トップの頃から、「その体では無理だ」と周囲に言われた場面でもはねのけてプロ根性を見せてきた人である。

 しかし、野田秀樹演じるナポレオンの愛人アルヴィーヌという要の役で、2時間強の出ずっぱり。今日より明日と、高みを見つめる女優魂が知らず知らずに心臓にダメージを与えていたのか。最後まで「やりたい」と休演に抵抗を見せた、と聞く。関係者も思案を重ね、代役を立てた。

 えーっ! 「宮沢りえ」の名前を聞いて驚いた。同時に納得もした。

 今の日本の演劇人を代表する三谷、野田両人の思いや、天海の心中を一番理解できる人選だった。

 なによりりえは、天海の演目をしっかり観劇していた。台詞もフラメンコの踊りも、ピアノの演奏も、舞台の面白さ、怖さも、今のりえは受け止める力がついてきている。

 代役で再開するまで実に、48時間で仕上げた。共演者やスタッフも含めて、千秋楽までほぼ不眠不休だったろう。

 野田は「わずか2日間の稽古で舞台に立つことを英断してくれた男らしさに感謝します」とコメントしている。

 りえの代演を観た知り合いから次々と興奮気味の電話やメールが入ってきた。

 「アドリブも交えながらほぼ完璧。宮沢りえの底力は凄まじい」

 「いゃー、りえちゃんが大きく見えた。いい舞台だったよ」…。

 その舞台でのアドリブ。たとえば、「役者って、稽古すれば1日か2日でうまくなるものなの?」という問いかけに、「とりあえずやってみましょう」とりえ。フラメンコの場面では、踊らずに手を叩くだけに切り替えるなど、舞台の流れを変えずに、お見事で、スタンディングオベーションの拍手に包まれた。

 りえの見上げた女優魂。そして、途中で休むことになった天海。健康が第一、走り続けてよく今日まできた。45歳は折り返し点と心得て、ゆっくり養生してほしい。ビッグな2人の女優が織り成す今後のドラマには目が離せない。

 ■武藤まき子 中国放送(広島)アナウンサーを経て、フジテレビ「おはよう!ナイスディ」のリポーターに。現在、フジの『情報プレゼンター とくダネ!』、関西テレビ『ハピくるっ!』に出演中。芸能、歌舞伎、皇室を主に担当する。著書にリポーター人生を綴ったエッセイ『つたえびと』(扶桑社刊)

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