映画「終戦のエンペラー」好発進のワケ 英国人監督の視点が奏功

2013.08.05


公平な視点だからこそ実際に残されている写真と雰囲気が似る映画「終戦のエンペラー」【拡大】

 ハリウッドが終戦直後の昭和天皇をどう描くか、製作時から注目されていた米映画「終戦のエンペラー」が公開され、好調な興行となっている。対日戦争映画というと、でたらめな時代考証だったり反日的な内容だったり。違和感を覚える作品が少なくないが、さにあらず。英国人であるピーター・ウェーバー監督(53)の客観的な視線が功を奏している。

 1945年8月30日、コーンパイプをくわえて厚木飛行場に降り立ったマッカーサー元帥(トミー・リー・ジョーンズ)。進駐軍を率いる彼は部下のフェラーズ准将(マシュー・フォックス)に極秘調査を命じる。それは、昭和天皇(片岡孝太郎)の戦争責任の有無を問うものだった。

 「アメリカ人の監督だと、どうしても偏った見方になってしまうということで、僕がオファーされた。あの時代の日本人って、戦闘的とか残虐とか、悪く描かれることが多い。だけど戦争というのは、互いの行為としてやったことであり、ともに傷つくものなんだ。そこを検証したかった」とウェーバー監督。

 「真珠の耳飾りの少女」(2004年)などで知られる監督だが、ドキュメンタリーも数多く手掛けてきた。「リサーチのプロセスは今回も同じ」で、時代考証に1年半を費やした。膨大な記録フィルムや写真を見、日米双方の歴史書を読みまくった。

 映画では米軍による原爆投下や東京大空襲にも言及する。「天皇は非常にミステリアスでデリケートな存在。最後まで見せたくなかった」と、マッカーサーとの会見シーンをクライマックスに据えた。一方でフェラーズと日本人女性(初音映莉子)とのロマンスというフィクションも加えた。

 「史実をなるべく忠実に再現しつつ、エンターテインメントの味付けもした。100%ドキュメンタリーではないけど、真実の精神はつかまえられた」と胸を張る。

 日本文化に精通し、昭和天皇を敬愛したフェラーズは、日米親善に尽くした功績で71年に勲二等瑞宝章を授与された。ウェーバー監督もまた、大の親日家で、15歳の頃から黒澤明監督をリスペクトしている。

 米国公開では日本に甘すぎるという批判も一部にあったようだが、「バランスが取れていると言ってくれる人も多かった。いかに戦後日本の繁栄の礎が築かれたか。そのルーツを日本の方に学んでもらえると思う」。

 焦土と化した東京の風景は、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」でアカデミー賞美術賞を獲得したスタッフがニュージーランドで再現。西田敏行(65)、桃井かおり(62)、中村雅俊(62)らも出演。初日の2日間では興行収入1億8300万円と安定した出足となっている。 (田中宏子)

 

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