【本当にスゴイ 時代劇見参】黒澤監督が目指した「美しいもの」 愛弟子・小泉監督が侍を通して描く

★「蜩ノ記」詳細ルポ(上)

2013.08.15

 来年公開の本格時代劇「蜩ノ記」(ひぐらしのき)が、まもなく完成する。葉室麟氏の直木賞受賞作の映画化で、小泉堯史監督(68)ら“世界のクロサワ”を支えたスタッフが結集。キャストも役所広司(57)、岡田准一(32)、原田美枝子(54)、堀北真希(24)ら実力派が揃った。それぞれが語る作品の魅力を、3回にわたって紹介する。

 舞台は江戸時代後期、架空の小藩。秋谷(役所)は7年前、藩主の側室と密通した罪で10年後の切腹を申し渡された。だが余命3年となった今も動じることなく、命ぜられた藩の歴史の編纂に黙々と取り組んでいる。そんな彼の監視役となった庄三郎(岡田)はその気高さに触れ、冤罪を確信していく。人間の矜持や生き方を問う骨太のストーリーだ。

 小泉監督は黒澤明監督の愛弟子で、黒澤監督の遺作脚本を映画化した「雨あがる」で監督デビュー。「阿弥陀堂だより」「博士の愛した数式」「明日への遺言」など、良質な作品を手掛けてきた。時代劇は「雨あがる」以来13年ぶりとなる。

 「原作を読んで、登場人物にひかれた。この時代に生きた侍を、侍が生きた時代の心を、うまくつかまえられれば。侍とは何かと聞かれると、なかなか具体的には分かりにくいんですけど、武士道というものも含めて、この映画の中でつかまえてみたい」

 青年武士の庄三郎は秋谷と出会い、心から尊敬できる師を得たことで成長していく。「原作を読みながら黒澤さんとの出会いを思い出した」という小泉監督。庄三郎に自らを重ねたのだろう。

 撮影現場でも師匠譲りのこだわりを随所に見せた。いまやデジタルカメラが全盛。国内で唯一映画用フィルムを製造していた富士フイルムも今春、ついに生産を終了した。にもかかわらずフィルム撮影にこだわった。

 「僕もスタッフもみんなフィルムで育ってきたし、それ以外に知らないから。昔ながらの映画作りの過程が大好きだし、フィルムが最も手慣れた方法なんですよ」

 4月にクランクイン。岩手県遠野市の「遠野ふるさと村」などで2カ月間にわたってオールロケで撮影した。黒澤組の職人スタッフを率い、ワンカットワンカットを丁寧に積み重ねていった。

 「よく黒澤さんはおっしゃっていた。『美しい映画を作りたい』って。美しさというのは心で感じるものだから、非常に難しい。でも、調和がないところに美しさはない。それぞれのエキスパートがうまく協調していけば、黒澤さんが目指した美しいものに少しは近づけるのではないかなぁ」(田中宏子)

=つづく

 

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