畑正憲さん訳「びっくりどうぶつ フレンドシップ」 種の違う動物同士でも心通じ合う奇跡の関係

★ジェニファー・S・ホランド著、畑正憲さん訳「びっくりどうぶつ フレンドシップ」飛鳥新社・1500円

2013.09.22

連載:ブック


畑正憲さん【拡大】

 子猫をわが子のように慈しむ母ゴリラ、楽しげに同居するライオンとトラとクマ…。違う種の動物同士が仲良しになるなんて、アンビリーバブル。だけど、癒やされるなぁ。 (文・写真 大谷順)

 ──ネコとネズミが仲良くしたり、サルがハトの背中に頬ずりしたり。全部「実話」なんですね

 「人間の子供がオオカミに育てられたり、イヌがネコの面倒をみたり、いろんなケースが報告されています。ボクも経験したり、実際に見たりしていますが、違う種であっても肌触りや舌触り、ニオイ、体温で伝え合う。命と命が出合い、絆を得る。愛の原型がそこにありますね」

 ──種が違う動物同士でも心を通じ合わせられる

 「だって、人間と動物の遺伝子は数%しか違わないんですよ。人間と動物、そして動物同士でも心は通う。そうした気持ちで接すれば、必ず返してくれる。これこそ、ボクが約40年かけて命懸けでやってきたことなんです」

 ──さすがのムツゴロウ先生も驚かされたケースは

 「イヌとコイの触れ合いにはビックリしました。ボクだってコイに自分の指をしゃぶらせた経験はある。チュウチュウとね。でも、それは『エサをあげる』という行為を擬したものです。本書には、アメリカのオレゴン州で、ゴールデン・レトリバーとコイがうっとりと見つめ合う写真が掲載されている。もちろん、エサは介在していない。奇跡だと思いますよ」

 ──動物のお母さんが違う種の赤ちゃんを育てる話がたくさんある

 「ミルクをほしがる行動や赤ちゃんのにおいなどは、違う種であっても共通する部分が多い。その『信号』を受け取ると動物のお母さんも母性本能をくすぐられるのでしょう」

 ──イマドキの人間の若いママよりもよっぽどお母さんらしい

 「最近の親子関係は少しおかしくなっていますね。わが子を殺してしまったり、虐待したり、赤ちゃんが泣くと、うるさがったり…。だから、この本は若い親たちにこそ読んでほしい。1週間に1度ぐらいでもいい。違う種でも仲良くしている動物たちの写真をみたら、きっと優しい気持ちを取り戻せますよ」

 ──電車の中でも、子供をベビーカーに乗せたまま、スマホやケータイをいじるのに夢中になっている親がいます

 「ボクはね、ベビーカーが嫌いなんですよ。親子の視線が違うし、(だっこやおんぶと違って)お父さん、お母さんと肌を合わせていないから、ぬくもりが感じられない。子供の表情もわからないでしょ。ベビーカーの中の子供の顔をのぞき込むとだいたいはツマラナそうな顔をしているもんね」

 ──自分で書くのと翻訳はどう違いますか

 「ボクは、凝り性でね。まずは“翻訳臭”をなくすことを考える。やっぱり自分の『文体』にしたいからね。そして、できるだけ分かりやすい文章に翻訳することを心がけます。この本の写真をみたときは、『ぜひやらせて』と二つ返事で引き受けましたよ」

 ■あらすじ ネコとネズミ、ヘビとハムスター、イグアナとネコなど、一見「ありえない」動物同士の47の実在の“友情エピソード”を写真と文で紹介。動物学的な解説はさておき、優しい表情をした動物たちの写真を見るだけで心が癒やされる。著者のジェニファーは、アメリカの女性ジャーナリスト。英語のオリジナル本はすでに約70万部のベストセラーになっている。

 ■畑正憲(はた・まさのり) 作家、動物研究家。1935(昭和10)年、福岡県出身。東京大学理学部卒。71年、北海道に「ムツゴロウ動物王国」を創設。王国の様子を紹介したフジテレビ系の番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」は、20年にわたって放映された。趣味はプロ級の腕前のマージャン。

 

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