藤田浩之さん「道なき道を行け」 日本の大人に足りない情熱とベンチャー精神

★藤田浩之さん『道なき道を行け』小学館・1470円

2013.10.13

連載:ブック

 日本には「熱さ」が足りないという。政治にも教育にも若者にもだ。米オバマ大統領の一般教書演説に外国人としてただ一人招待された、今アメリカで最も注目される経営者の熱いメッセージを聞け。 (文・写真 大谷順)

 ──アメリカから見て今の日本がダメな点は

 「あまりに画一的で、多様性、柔軟性に欠けている点ですね。でも、一番ダメなのは、日本が『変わらなきゃいけないこと』をみんなが分かっているのに何もやらないことですよ」

 ──高度経済成長を成し遂げたかつての日本企業は、そうじゃなかった

 「ホンダやソニー、松下(現・パナソニック)…戦後、焼け跡から立ち上がった日本企業の経営者は、単に『ものづくり』を行うのではなくて『この国を救いたい』という強い思いがあったと思う。でも、大企業になり、行き詰まりが見えてきた今は、新しい価値を見いだせずにいます」

 ──ソニーと米アップルの違いですね

 「ボクが中学生のころ、ソニーのウォークマンを見て本当にワクワクしました。今はそんな日本製品に出合うことがない。例えば携帯電話ですよ。日本企業は薄く、小さくすることばかりに気を取られていましたが、アップルのジョブズは電話のあり方自体を変えてしまった」

 ──それが「新しい価値」だと

 「アメリカという国にはチャレンジを恐れない、まったく違うことをしてみよう、といったベンチャー精神が根付いています」

 ──日本の若者も今や安全・安定志向。早くから外国へ行った藤田さんには歯がゆい

 「これは、大人の責任ですよ。だいたい18歳やそこらの若者に、実社会のことが分かるはずがない。責任ある立場の大人が何が大切か、何をすべきかと、若者に語ってあげなくてはいけません。偏差値ばかりで大学を選ぶ教育システムにも問題があるし、もっと情熱を持って生徒に向き合う教師も必要です」

 ──日本は「リーダー不在」を問われて久しい。リーダーに必要なことは

 「リーダーの精神性や考え方を、いかに周囲に浸透させられるか、ということでしょうね。つまりリーダーが不在でも、部下はリーダーがやりたいことを分かっているものです。そのためにはそれに向けて普段から行動し努力をする姿勢を教えなくてはならない。それこそがリーダーシップ。軸をしっかりさせて、ブレないことも大事だと思いますね」

 ──アメリカのリーダー、オバマ大統領はどうですか

 「オバマ大統領とは4回会いました。とりわけ印象に残っているのは握手の力強さ、精神の強靭(きょうじん)さ、目力…。何しろ、アメリカだけでなく、事実上、世界のかじ取り役なのです。その大きな責任が常に彼の肩にかかっている。並大抵の精神力ではありませんよ」

 ──オバマ大統領はスピーチのうまさに定評があります

 「それは表面的な見方ですね。彼のスピーチは技術的に『うまい』のではなく『熱い』のです。魂の叫びだからこそ、アメリカ国民は泣く。今の日本にそんな政治家がいますか? 熱さが足りないのです」

 ■あらすじ イノベーティブなものづくりを忘れてしまった日本企業、覇気のない日本の若者、閉塞感に覆われた社会…。かつての「強い日本」を取り戻すにはどうすればいいのか。今アメリカで最も注目される経営者のひとりである著者が、自らの体験に基づき、日本とアメリカ社会の違いや、日本経済の課題を語る。日本や日本人を勇気づけるメッセージが満載だ。

 ■藤田浩之(ふじた・ひろゆき) 米クリーブランドに本拠を置く医療機器開発メーカー「QED(クオリティー・エレクトロダイナミクス)社」社長兼CEO。1966年、奈良県出身。早稲田大在学中に渡米、米ケース・ウエスタン・リザーブ大学で物理学博士課程修了。理学博士。GEを経て、2006年、QED社を設立。2012年のオバマ大統領の一般教書演説に外国人として唯一招待され、一躍有名人に。13年、米商務省評議員。

 

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