【カズゾウの絶対音監】アニメの現場で一番偉い「監督」

2013.11.22


ハマノカズゾウ【拡大】

 アニメの音響監督というのは、声優さんたちがアニメのキャラクターに声を吹き込む「アテレコ現場」で偉そうにダメ出しする演出家の事です。

 そんなスタッフ側の私から見たアニメ現場の裏話を色々書いちゃうのがこのコラムです! 今回は、前回に引き続き、アニメのアテレコ現場にいるスタッフたちの話をしたいと思います。前回は「原作者」について語りましたが、今回は「監督」について語りたいと思います。

 「監督」というのはその作品の総責任者。一番偉い方です。アニメの現場で「○○監督」という言葉がつく役職はたくさんあります。「作画監督」「撮影監督」、私の仕事である「音響監督」など。しかし、何も前に言葉がつかない、純粋に「監督」と呼ばれる人は一人だけです。「監督」はそれぞれのポジションの「○○監督」たちを束ねる総合監督なのです。なので全スタッフ、この「監督」が作り上げようとしている世界を表現するために全力を尽くすのです!

 「監督」は、最も激務なポジションです。何故なら監督はすべての工程に顔を出すのでレギュラーアニメだと一週間の殆どが打ち合わせとか作業でうまってしまいます。もちろんアテレコ現場にも来ます。が、ヘロヘロ状態で、アテレコが始まったら夢の世界へ行ってしまう監督も多いです。(それだけ声優さんたちを信頼してるということで…)そんな激務な監督が先日、アテレコ中に必死に書きものをしている時がありました。覗くと絵コンテを書いていました。

 絵コンテというのは映像イメージやカット割りがラフ画で書かれているもので、まあ分かりやすく言えばアニメの設計図みたいなものです。それに従って絵のスタッフは画像を作っていきます。その絵コンテをアテレコ中に書いているので、「テンパっているんですか?」と聞くと、「コンテが間に合わなくて…」と言うので、「何話のコンテを書いているんですか?」と聞いたら、「来週アテレコ分です」との返答が…「えええ〜〜!」来週アテレコ分を… 今コンテ作業〜〜〜??? これからやっと絵を作る作業が始まるの〜〜〜!?

 やはり、次の週のアテレコにはまったく絵が入っていませんでした…第一回のコラムでも語りましたが、今のアニメ現場は絵が間に合わず静止画で収録をしていることが多いのですが、さすがに前の週に絵コンテ作業をしているのは最大のピンチです。それでもオンエアーには間に合わせるのだからスタッフたちがどれだけ寝てないかってことです。

 今まで色々な監督と仕事をさせていただきましたが、大きく分けると2パターンの監督がいました。「絶対神ワンマンタイプ」と「周りを使うバランサータイプ」。「ワンマンタイプ」の監督は頭の中に自分の考えがあって、その考えが絶対で妥協を許さない人が多い。「バランサータイプ」の監督は自分の考えを強要せず、周りから出てきたものを生かそうとするタイプ。どちらも作品をつくる上では素晴らしい指揮官なのですが、下で働く人たちにとっては「バランサータイプ」の監督の方が好きな人が多いようです。が、私はどちらかと言うと「ワンマンタイプ」の監督が好きです。「ワンマンタイプ」は周りに疎まれたり怨まれたりすることが多いのですが、それを全部引き受けて孤独と戦える人だから尊敬します。

 もちろん、そういう監督とはよくぶつかります。その時は「まったく餅は餅屋で音のことはこっちに任せておけっての〜」って思ったりもしますが、その監督が「これだ〜!」と思うものを提供できた時、納得している監督の顔を見たりすると「勝った〜」という気がして嬉しかったりします。ということで今回はアニメの現場で一番偉い「監督」について語らせてもらいました。

■ハマノカズゾウ 1969年1月17日愛知県出身。アニメーションの音響監督。舞台の脚本・演出家、ドラマのシナリオライター、声優育成講師など多才に活躍。テレビ東京系「家庭教師ヒットマンREBORN!」など多数のアニメに音響監督として参加。公式ブログ http://blogs.yahoo.co.jp/kazuzo_hamano も要チェックだ。

 

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