“助走”は終わり…本格執筆へスタートライン 池澤春菜さん

★池澤春菜さん「乙女の読書道」(本の雑誌社1500円+税)

2014.04.12

連載:ブック


池澤春菜さん【拡大】

 声優でエッセイストの池澤春菜さん(38)が、初めての著書『乙女の読書道』(本の雑誌社)を上梓した。雑誌に寄稿したSFを中心とした書評やエッセーをまとめたものだが、実は、池澤さんの祖父は作家の福永武彦、父は芥川賞作家の池澤夏樹さんという“文学”の家系。「本がないと生きていられない」という本好きが本格執筆へ、結実の第一歩を踏み出した。 (文・竹縄昌 写真・矢島康弘)

 −−SF、ファンタジーが好きというエネルギーを感じました

 「あまりSFに偏るといけないと思って、バリエーションを豊かにしたつもりだったんですが、蓋を開けたら半分はSF。読書家の方には、いろんな本を満遍なく読まれる方ってたくさんいると思うんです。その同じ場所に私が入っていっても足りないところがあります。だったら偏っていて空回りするぐらいのエネルギーがあって、そんなに上手じゃないけど、伝わるという道の方がよいと思いました」

 −−反応は

 「海外のSFは読んだことがなかったけど、読みたくなったという方もいれば、カバー写真の書棚の本を解析する方がいたり、“どこが乙女やねん”というツッコミもありました(笑)」

 −−お父さまとの対談もありますね

 「書評家の先輩として話を聞くべきは父かなと思ったんです」

 −−お父さまやおじいさまへの思いを綴ったエッセーも載ってます

 「この本は、私が書いてきた文章、とりわけ本に関するものはできるだけ拾うというのが最初の方針でした。書くこと、読むことがどういうものかをこんな風に考えているというのが分かるようにしたい。そうすると、父と祖父と私の関係性のものは入れなければダメかなという気がしたのです」

 −−親の七光り的なことを言われたりは

 「いろいろ言う人はいます。デビューから10年は、否定はしませんでしたが、自分から明かしたことはないです。普通の方がゼロから出発しているところを私は3のリードをもらっている。でも普通の方が10先に行ったときに、私も同じ10ではそれは恥ずかしいこと。そのきつさは背負っていました。いま自分の脚で13先までいけた自負があるから、父との関係性をもう一度問い直して、世に出していい。私は私で歩んでいくことができると思いました」

 −−どんな意味合いのある本に?

 「足下に一本の白線を引かれたような気がします。助走はここまでという意味だし、ここで飛ぶんだという意味。それを蹴って飛べたらよいと思っています」

 −−本では小説への逡巡があることも吐露されてます

 「いい作品を読みすぎているので、自分で書くのは最初からハードルを上げてしまっていて今は書ける気がしません」

 −−夕刊フジの読者にメッセージを

 「この本を通して、読書に対する熱を感じていただいて、SFは読まないにしても、昔、歴史物を読んでいたな、池波正太郎が好きだったな、じゃあ、もう一度読み直してみようか、などと、読書に対する自分の姿勢をふと顧みていただけるといいかなと思います」

 ■著者初の単行本。2009年から始まった「本の雑誌」連載の同名の書評コラムを中心に構成。20代に書いた『週刊プレイボーイ』の連載コラムや、父や祖父への思いを綴ったエッセーも収録。

 巻末の池澤夏樹さんとの初対談は池澤夏樹ファン、春菜ファンいずれも必読だろう。ブックカバーの書棚は自宅で撮影された。

 ■池澤春菜(いけざわ・はるな) 1975年 ギリシャ・アテネ生まれ。声優、歌手、エッセイスト。94年、芸能界デビュー。主に声優として活動し、近作では「ケロロ軍曹」「ドラえもん」など。紅茶アドバイザーや中国茶の高級評茶員、中級茶芸師など資格も持ち、ガンプラの作り手でもある。「本の雑誌」「SFマガジン」など雑誌連載コラムを持つ。日本SF作家クラブ会員。BSフジ「原宿ブックカフェ」出演中。

 

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