池脇千鶴、迫真の濡れ場に漂う“昭和のエロス”のにおい

2014.05.17


映画「そこのみにて光輝く」【拡大】

 映画「そこのみにて光輝く」(呉美保監督)のヒロイン、池脇千鶴が、激しく切ない濡れ場を演じている。女優デビュー当時に取材したとき、ちぃちゃんは、「ラブシーンなんて、絶対ムリ」といってたのに(涙)。いやすみません、嬉し泣きです。32歳。実に艶めかしいオンナになった。

 本作で三島由紀夫賞候補となった作家の佐藤泰志氏は後に自殺している。舞台は函館。失職中の男(綾野剛)がパチンコ店で出会った青年(菅田将暉)に連れられ海沿いのバラックを訪ねる。

 「姉ちゃん、何か作って」「チャーハンならできるけど」

 姉役の池脇がノースリーブ姿で汗を浮かべながらフライパンをふる後ろ姿から、油まじりの色香が漂う。綾野をちらっと見た瞬間、けだるい横顔がオンナの表情に変わる。やがて、惹かれ合った2人は服を着たまま海の中で足を絡ませる。が、すんなりとした恋愛話ではない。オンナの家庭環境や男関係が、行く手を阻む。やるせない閉塞感と、どんよりした人間くささが、見る者を袋小路へ誘う。

 愛あるセックスも無理やりの乱暴も受け入れながら、醒めた表情のオンナに、惻隠の情を感じてしまう。

 印象深く、にぶい光を放つこの作品。製作にあたった永田守氏は、“永田ラッパ”で知られた大映のカリスマ社長、永田雅一の孫。だが、映画からは大映調というより、1960〜80年代に非商業的な良作を相次ぎ製作した映画会社ATGのにおいを嗅ぎ取った。

 たとえば、「遠雷」(1981年、根岸吉太郎監督)で、永島敏行が石田えりをラブホテルに誘う場面や、「お葬式」(84年、伊丹十三監督)で、山崎努と高瀬春奈が屋外でまぐわった立ち後背位が頭をかすめた。池脇には、そうした昭和のエロスの後継たる艶が備わっている。 (中本裕己)

 

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