〈たとえベルリンの壁がくずれおちても 俺とお前が命をこがしたあの青春の日々は くずれおちはしない 帰ってこい闘士たちよ〉
これは、つかこうへい氏の舞台「飛龍伝」の一場面。学生運動が盛んだった1970年を舞台に、日本を変えるという志を持った全共闘参謀の桂木順一郎は、全共闘40万人を束ねる新しい委員長に自らが愛する神林美智子を指名。
ところが彼女は、学生達の弾圧に明け暮れる警視庁第4機動隊の山崎一平隊長が愛する女性でもあった。
一平と美智子の愛と革命の日々を描いた全国公演中の舞台「飛龍伝2014」を見た。
かつて広末涼子や内田有紀、黒木メイサなど名のある女優が出演することも珍しくなかったこの作品、今回は無名に近い人たちばかりでの上演だったが、神林を演じた稲垣里紗は鮮烈だった。
舞台は73年以来、時代に応じて演出を変えながら、2010年のつか氏逝去後も繰り返し上演されているが、つかイズムが脈々と受け継がれていることが感慨深い。
そんな思いを持ったときにドラマ「若者たち2014」(フジテレビ系水曜午後10時)を見、「飛龍伝」と重なった。
ドラマは66年に放送され、圧倒的な支持を得た同名ドラマのリメーク。
当時、〈君のゆく道は 果てしなく遠い〉の歌詞で知られるザ・ブロードサイドフォーが歌う主題歌と共に、戦後の傷跡や貧しさ、学生運動など昭和の若者たちが一生懸命生きる姿が描かれて、一世を風靡した。
平成版では、時代は昭和だが内容は現代社会で若者たちが抱える学歴や格差、結婚、妊娠、不倫、就活など様々な問題を取り上げている。