堂場瞬一さん“記者出身”ならではの「今」描く メディアは現代の「鏡」 (1/2ページ)

★堂場瞬一さん『警察(サツ)回りの夏』(集英社1800円+税)

2014.10.18

連載:ブック


堂場瞬一さん【拡大】

 誤報、バッシング、第三者委員会による調査…。まるで、世間を騒がせている朝日新聞の問題を先取りしたようなストーリー。報道の使命を問う、新聞記者出身の著者ならではの衝撃作だ。 (文・大谷順 写真・野村成次)

 ──朝日の問題が小説を“後追い”したような形になりましたね

 「よくそう言われます。約1年前に今作の構想を練り始めたときには、朝日の問題なんて想像もできなかった。大体、全国紙が第三者委員会まで設けて経緯を調査するなんて考えられないでしょう。私としては、メディアこそが時代の影響を受けやすい『時代の鏡』であり、それを通して『今』を描きたかったのです」

 ──拡大を続けるネットの功罪、過熱するメディアスクラム、幼児殺害。秘密保護法を思わせる法律も登場する

 「秘密保護法に関しては、『知る権利』侵害の可能性について当初から問題意識を持っていたのは確かですね。(今作では)ネットの規制問題にも触れています。ただし、実際の事件をモデルにしたようなことはありません。特に私が記者時代に取材した事件や情報に関しては一切、取り上げないというルールを決めています。他の仕事で知り得たことを別の仕事に生かすのは、やはりおかしいでしょ」

 ──それでも、何より「特ダネ」を欲しがる記者の心情や、他社との激しい取材合戦の描写など、“記者出身ならでは”ですね

 「記者は同業他社と四六時中、記者クラブで一緒にいる。そんな業種は他にはないでしょうね。『特ダネ』を抜いたとき、抜かれたとき、どんな顔をして他社の記者と顔を合わせるか。特ダネとして自分が報じた事件が当局から発表されるまでのドキドキした気持ち…。この心情はたぶん記者独特のものでしょう。ただ、私は記者という仕事が合わなかった」

 ──記者が合わなかった

 「そうです。入社したその日に『間違った場所に来てしまった』と思いましたね。警察(サツ)回りは、すべての記者の基本だと思いますが、私は事件記者としても“大きな事件”には恵まれなかった。新聞に記事を書いているよりも、小説の方がずっとラクですよ」

 ──新聞は事実を書けばいい。小説は物語を作らねばならないから大変かと思いますが…

 「私は基本的にウソツキですから。過去のことはあまり振り返りたくないのですが、新聞に記事を書くのが、だんだんと怖くなっていったのです。数百万から1000万もの読者に、ときにはわずか数時間で取材し記事を仕上げ、パッケージとして読者に届けないといけない。果たしてちゃんと『真実』を伝えているのだろうか。そう思うと緊張して怖くなりましたね」

 

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