ドイツ・バーデンバーデンはヨーロッパ有数の温泉保養地。そのランドマークとも言える歴史ある建物=KURHAUS(クアハウス)の一角にお目当てのカジノがある。
ゴージャスな白壁の建物に吸い込まれていく“ギャンブラー”は、ジャケットにネクタイでビシッと決めている。近年はヨーロッパのカジノでも、カジュアルな格好をした中華系の人が増えてドレスコードが緩んできた印象だったが、ここは違う。200年も前にカジノができたときと同じ、エレガントな雰囲気が保たれているのだ。
受付でパスポートを提示し、入場料5ユーロ(ユーロ=約650円)を払って中へ(意外と安い!)。たくさんのシャンデリアが吊り下げられた豪華な部屋がいくつも続き、その下にヨーロピアンルーレットや、ブラックジャックテーブルが、ゆったりと配置されている。
ギャンブル好きだったといわれるマリー・アントワネットの時代にタイムスリップした感じ。歴史の重みとその品格にちょっと気後れもしたが、こういうときこそ、楽しまなきゃ、損、損。各テーブルに表示されているミニマムレート(最低賭け金)をチェックすると、さらにヤル気が出てきた。
ルーレット 2ユーロ〜
ブラックジャック 5ユーロ〜
ヨシッ、これなら思う存分、楽しめる。マカオやシンガポールでテーブルゲームのインフレ化に驚いている身としては、うれしい限り。なんと言ってもカジノは遊びやすさが一番だ。マネープレッシャーが大きすぎると、面白みも半減する。
ドレスアップしている紳士淑女も、目立つようなビッグベットをしていないのがいい。いかにもお金持ちといった人も見かけたが、そんな人でもチョビチョビと5ユーロずつ賭けたりしている。そう、純粋にゲームをエンジョイしているのだ。
ブラックジャック台に座ったボクは、平均20ユーロのベットで余裕を持って取り組んだ。流れがいいときは50ユーロにベットアップして、その日のディナー代をゲットしたところで勝ち逃げだ−。
正直言うとボクだって、以前は大きなお金を賭けないと、ギャンブルのピリピリ感を味わえないときもあった。だけど、そんなの長くは続かない。身の丈にあった賭け金で、ゲームを楽しんでこそカジノは“大人のたしなみ”になる。そのいいお手本を、ここバーデンバーデンで見させてもらった。
温泉に浸かってリラックス。マッサージでトロトロになって、夜はごちそうに舌つづみ。そして腹ごなしにカジノへ。そんな非日常が満喫できる場所はまだあります。続きは次回…。 (ギャンブルライター・片山真)