【知られざる海難1890秘話】撮影セットは事故現場付近 田中監督「不思議な縁に導かれ完成」

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2015.12.05


日本とトルコの絆を描く「海難1890」【拡大】

 5日公開の映画「海難1890」は、1890年、和歌山県沖で起きた「エルトゥールル号海難事故」と、1985年の「テヘラン邦人救出」から、日本とトルコの深い絆を描いている。多くの思いが結集した本作は、不思議な縁に導かれて完成に至ったという。田中光敏監督が明かした。

 「先日のことなんですが」と田中監督が切り出した。ともに映画制作に取り組んできた和歌山県串本町の田嶋勝正町長から連絡が入ったという。

 「撮影では串本町にオープンセットを組みましたが、町長がロケ地を選んだ理由を尋ねるんです。『あそこは事故で遺体が一番多く打ち上げられた場所なんです』というから驚きでした」

 昨年秋から始まった撮影。オープンセットでの撮影は驚くほど晴天に恵まれた。「たまたま湾がよく見える場所を選んだだけで、そんなことは全然知らなかった。好天が続くので、スタッフとも当時の人が味方してくれているようだと話していたほどです」と明かす。

 不思議な縁はトルコでも。テヘランの邦人を救出に向かうトルコ航空の客室乗務員(CA)役の女性が撮影現場で泣いていた。「実は彼女の母親が実際に救出に向かったトルコ航空のCAだったそう。彼女は母親に『日本のために私の代わりに協力してほしい』と頼まれ、オーディションに参加しましたが、CA役になったのはたまたま。感極まったようです」

 トルコで行われた海難シーンの撮影では、水を使った特撮経験のないトルコ人スタッフが日本で特撮技術を学び、現地でセットを組んだ。「水4トンを上から落とす予定が完成したら8トン規模。おかげで大迫力でした。トルコの熱い思いがうれしかった」と田中監督。

 「不思議な縁に導かれて、何とか完成にこぎつけました。多くの人の、この絆を語り継いでいくという強い思いでできあがった映画です」 =おわり

 ■田中光敏(たなか・みつとし) 1958年9月24日生まれ、57歳。北海道出身。大阪芸術大学卒業後、CMディレクターとして活躍。2003年に「化粧師 KEWAISHI」で監督デビュー。13年の「利休にたずねよ」はモントリオール世界映画祭ワールドコンペ部門で最優秀芸術貢献賞を受賞。

 

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