エロスもいい イーサン・ホーク最高傑作『ブルーに生まれついて』

2016.11.15

チェット・ベイカーを好演するイーサン・ホーク
チェット・ベイカーを好演するイーサン・ホーク【拡大】

 中性的な澄んだ魅惑のボイス。胸に染みる切ない演奏。伝説のジャズシンガーでトランペット奏者、チェット・ベイカー(1929〜88)の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は鳥肌ものだ。

 この曲を聴いたきっかけは、彼を描いた映画「ブルーに生まれついて」(日本公開26日)に心乱されたから。並の伝記映画じゃない。アフリカ系が席巻するジャズ界で、白人のベイカーはチャーリー・パーカーに認められ、50年代にはマイルス・デイビスを凌(しの)ぐ人気者になる。

 映画は麻薬が原因で入れられたイタリアの監獄からハリウッドのプロデューサーによって救い出されるところから始まる。66年、ベイカー自身が主演する彼の半生を描いた映画の撮影が始まり、女友だち役の女優ジェーン(カルメン・イジョゴ)をデートに誘う。

 しかし帰り道でドラッグがらみのトラブルで暴漢に襲われ、口に大けがを負いトランペットが吹けなくなる。献身的に看病するジェーンとの間に芽生える愛。2人が見せるエロスもいい。

 仕事もなくヘロインに溺れる日々。自分との闘いの末、ディジー・ガレスピーの尽力で復帰を果たすのだが。

 胸をかきむしるような苦しみが無ければ、彼の音楽は生まれなかったのか。芸術とはかくも残酷なものなのか。

 ベイカーを演じるのは、昨年「6才のボクが、大人になるまで。」でアカデミー賞候補となったイーサン・ホーク。劇中自ら歌も披露するホークの魂の演技は、彼の最高傑作といえる。

 ベイカーをもっと知りたいファンには、オスカー候補になったドキュメンタリー映画「レッツ・ゲット・ロスト」がお勧め。さらにサックスのポール・デスモンドやドラムスのスティーヴ・ガッドらとのセッションや、ルース・ヤングとのデュオ盤「枯れ葉」は、晩秋にじっくり味わってみたい名品だ。 (板垣眞理子)

 

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