刺激的な“人種ホラー” 人種差別の偽善を恐怖感いっぱいに描く映画「ゲット・アウト」

2017.03.28

全米で支持が急上昇中のホラー映画「ゲット・アウト」(AP)
全米で支持が急上昇中のホラー映画「ゲット・アウト」(AP)【拡大】

 サスペンスは好きだけど恐怖映画はちょっと。でも約5億円の製作費ながら、興収150億円超の大ヒット中ホラー「ゲット・アウト」(原題)は気になる存在だ。映画評サイト、ロッテン・トマトで一時、支持率100%の満点をマークしたとあって、スルーするわけにはいかなくなった。

 コメディアン出身のジョーダン・ピールはこの監督デビュー作でいきなり時の人に。

 いわゆる血の飛び散るホラーでなく(少しはあるが)、ゾクゾクするような“人種ホラー”の切り口が斬新。オバマ大統領同様、アフリカ系の父と白人の母を持つ監督はタイム誌のインタビューで「米国が抱えるウソと闘いたかった」と語っている。人種差別の偽善をユーモアも交えて、恐怖感いっぱいに描く鋭い感性が素晴らしい。

 この映画、日本公開は未定のようだが、ネタバレにならない程度にあらすじを紹介すると−。

 白人の美女ローズ(アリソン・ウィリアムズ)は恋人のカメラマン、クリス(ダニエル・カルーヤ)を連れて、郊外の両親の家を訪れる。彼が黒人だと知らせていないのがクリスには不安だが、ローズは「うちの親は差別主義者じゃないわ」と取り合わない。

 その言葉通り、瀟洒(しょうしゃ)な実家に着くと脳神経外科医の父ディーンはクリスを温かくハグ。「できればオバマ(大統領)に3度目の投票をしたかった」と取り入る。

 しかしクリスは精神科医の母ミシーから催眠術をかけられ、謎の体験に動転する。翌日家で開かれたパーティーの招待客たちは一様に笑顔でクリスを迎え、彼のたくましい腕を触りうっとりする中年女性も。老女のペットのような若い黒人の男もいる。何かがおかしい。漂う不気味さにクリスの疑惑は広がる。達者な演技陣。特にローズのクレージーな弟を演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズのエッジの効いた演技に注目したい。

 今日的な人種的緊張を風刺の効いたウイットで包んだ刺激的ホラー。差別の行き着く先は? (板垣眞理子)

 
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