過激な濡れ場だけじゃない! 海外メディア高評価のワケ

2010.02.23


「キャタピラー」ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いた寺島しのぶ【拡大】

 傷痍軍人の夫とその妻の苦悩や人間の業を描いた「キャタピラー」(若松孝二監督、8月15日公開)に主演し、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞(銀熊賞)に輝いた寺島しのぶ(37)。いち早く現地でプレミアム上映を見た外国人記者は、いったいどんな衝撃を受けたのか。

 60回を記念した今回のコンペ部門には20本がエントリーされたが、イスラエルの映画評論家ダン・ファイナルは、本作を見るや、すぐさま15日付の映画サイト「スクリーン」に寄稿。「低予算で高品質映画とはまさに『キャタピラー』のこと。テラジマの堂々とした体当たりの演技に感服した。彼女以外に女優賞は考えられなかった」と絶賛。

 仏サイト「エクセシフ」では5段階評価で4つ星をつけ、「壁の中の秘事」(1965年)以来、45年もベルリン映画祭に通い続けている若松監督のモチベーションの高さをたたえるとともに、「傷ついた夫婦の姿を赤裸々に描きながら、感動へと導く演出が見事、俳優の表現力が素晴らしい」とベタほめだ。

 ベルリン映画祭に長年通いなれたポーランドのベテラン評論家も寺島の存在感に、「昔、モスクワ映画祭で新藤兼人の『裸の島』の乙羽信子を見て以来、半世紀ぶりの衝撃」とその感動を隠せない。

 さらに今回、「パレード」(行定勲監督)が受賞した国際批評家連盟賞の審査委員長の経験を持つロシアの映画評論家アンジェイ・プラコフは「とても過激な反戦映画だ。難解だが『キャタピラー』には隠さず語らなければならない重要なものがちりばめられている。戦争をテーマにした映画は、若い世代こそ見なくてはならないものであるが、テラジマの演技はこの映画を見る若者をひきつけずにはおかないだろう」と評価した。

 ちなみにアジア映画界にはベルリンとカンヌの両方で女優賞に輝いたマギー・チャン(45)がいる。

 「マギーと寺島の共通点は2人とも夫がフランス人(マギーはすでに離婚)ということ。ライバルと言ってもいいが、今や“寺島はマギー以上”」という声も会場で聞かれた。寺島が日本人初の世界3大映画祭のダブル受賞女優になる日もそう遠くないかもしれない。

 (小張アキコ)

 

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